◆第107回全国高校野球選手権 北北海道大会旭川地区 ▽Cブロック1回戦 旭川永嶺11-7旭川南(26日・旭川スタルヒン)

 旭川永嶺は11―7で旭川南に逆転勝ちし、3年連続の北北海道大会出場に王手をかけた。旭川南の選手、旭川実の監督として甲子園5度出場の込山久夫さん(78)を祖父に持つ8番・角家(かどや)遼右翼手(3年)が同点打を含む2安打2打点で代表決定戦に導いた。

プロ注目右腕・菊地斗夢(3年)擁する旭川北は旭川志峯に2―7で敗れた。

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  偉大な祖父と鍛え上げた打撃で、旭川永嶺・角家が勝利をたぐり寄せた。2安打2打点の活躍に、「自分の打力で勝ちきるという気持ちだった。思い切って振れたのでヒットが生まれた」と白い歯がこぼれた。

 見せ場はいきなりやってきた。1点ビハインドの2回。1死一、二塁で「絶対にここで同点にする」と打席に入った。外角の変化球を逆らうことなく右中間にはじき返し、同点打。背番号9の一打で勢いづいた打線が3回に勝ち越すと、5回の第3打席でも無死二、三塁から右前に適時打。一挙5得点でリードを広げた。

 祖父の込山さんは、1964年夏に旭川南の捕手として甲子園に出場。旭川実の監督としても「ミラクル旭実」旋風で8強入りした95年夏、お笑い芸人・とにかく明るい安村がメンバー入りしていた99年夏を含め4度聖地に導いている。

 角家が小学1年時に野球を始めてからは、自宅でのマンツーマン指導が日課となった。トスバッティングができるよう、込山さんが車庫を改修。土を入れ、ネットを張ったお手製の練習場で名将による英才教育が行われてきた。孫の夏初戦をバックネット裏から見守り、「2本とも捉えた打球。良かったですよ。うれしい限り」と目を細めていた。

 29日の代表決定戦では、強豪・旭川志峯と激突する。角家は「チームの目標は北大会ベスト8だけど、(個人としては)全国ベスト8まで行きたい」。マネジャー手作りのお守りの中に入れられたのは、祖父が出場した5回分の甲子園の土。祖父に負けじと、“ミラクル永嶺”で北北海道の頂点に向かって勝利を積み重ねていく。(島山 知房)

 〇…旭川志峯は夏の甲子園10度の出場を誇る伝統校の意地で逆転勝利を収めた。春に地区初戦で敗れた宿敵との一戦。

各打者が粘り強く好投手・菊地に食らいついた。4盗塁の走力も絡めながら攻め、同点の6回に8番・村田敏泰二塁手(2年)の勝ち越し打などで5点を奪い試合を決めた。春の旭川北戦で決勝点につながる失策をしていた村田は「前回は自分のミスで負けた。何としても勝ちたかったのでうれしい」と安堵(あんど)の表情を浮かべていた。

 〇…旭川北は最速146キロ右腕・菊地が初戦で涙をのんだ。腰の痛みに加え、鼻から出血するアクシデントに見舞われながらも5回まで1失点と粘投を続けていたが、球数が100球を超えた6回に捕まり5失点。8回10安打7失点で高校最後の公式戦を終えた。11球団のスカウトが集結したが、「大学からメジャーだったり、プロだったり、ドラフト1位で行って、日本を背負うピッチャーになりたい」と大学進学の方針を明かした。

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