J2北海道コンサドーレ札幌DF西野奨太(21)が、28日のホーム熊本戦で亡き恩師に勝利を届ける。2試合連続先発が濃厚な西野が札幌U―18時代に指導を受けていた森下仁之氏が、25日に57歳で亡くなった。

27日の練習後、沈痛な面持ちで高校時代を振り返り、「勝ちに貪欲で、目の前の相手に負けないという姿勢が好きな監督さんだった。森下さんが大事にしていた考え方をピッチで披露したい」と口元を引き締めた。

 今季からJ1町田のアカデミーヘッドコーチを務めていた恩師の言葉には何度も励まされてきた。高2の2021年に札幌とプロ契約を結んだ西野だったが、翌年は出場機会がなかった。実戦経験を積むため、シーズン途中でU―18に再帯同することになった。「プロ契約している中でユースに行くことに申し訳なさもあったし、自分のプライドとしても苦渋の決断だった」。溶け込みづらい状況も森下氏が入りやすい空気をつくってくれた。「表には出さないけど、優しい声かけだったり、すごく温かい心を持った人だった」。感情を抑えながら、そう思い返した。

 慕っていた恩人の死去後、初めての公式戦。熊本には2月の敵地での対戦で今季初先発するも、0―3と完敗した。「やり返さないと」。

そう誓った自身の雪辱はもちろん、森下氏のためにも無様なプレーはできない。「森下さんは高校1年の時から『奨太はもっと上にいける』とずっと言ってくれていた。しっかりとピッチに立って、期待してくれていた以上の選手になることが、自分にできる恩返しだと」。今日の一戦に出場すればキャリア最多の15試合に並ぶ。着実な成長の礎を築いてくれた森下氏に恥じぬプレーを西野が見せ、2連勝を飾る。(砂田 秀人)

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  札幌が記念ゴールに到達し、白星の確率を引き上げる。1998年のJリーグ参戦から、ホームで挙げたリーグ戦での得点は27日時点で798と、節目が視野に入る。今季、2点以上を挙げた試合は同日までで5勝2分け1敗。複数得点なら今季2度目の連勝がぐっと近づいてくる。前節・藤枝戦(3〇1)で先制点を挙げ、4試合ぶり勝利につなげたMF青木亮太(29)は「連勝しないと上に行けない状況なので。ビルドアップでボールを失う回数を減らすことと、次のプレーへの準備は重要になる」と浮上へ向けて負けられない戦いへ、気を引き締めた。

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