◆JERA セ・リーグ 巨人5―0DeNA(28日・東京ドーム)

 巨人が全5打点を稼いだ1、2番コンビの活躍でDeNA戦のカード勝ち越しを決め、貯金を1に戻した。1番・丸佳浩外野手(36)が、5月3日に完封負けを喫したバウアーから4回、右中間へ先制の2点二塁打。

6回1死満塁では2番・オコエ瑠偉外野手(27)が前進守備の間を抜ける走者一掃、2戦連続の三塁打で試合を決めた。F・グリフィン投手(29)は7回無失点で助っ人左腕では球団初の開幕から無傷の5連勝。勝率で広島を下回り3位転落も首位・阪神との3・5差をキープした。

 バットを華麗に放り、叫んでいた。丸は“獲物”を逃さなかった。両チーム無得点の4回2死二、三塁。フルカウントからバウアーの外角低め155キロ直球を捉えた。「最後は甘いコースだけど、それまではコースに、くさい(際どい)ところに来てたので、我慢しながらだった」。均衡を破る右中間への決勝2点二塁打。二塁ベース上、右手を掲げながら歓喜の咆哮(ほうこう)を上げた。

 新コンビで勝利に導いた。6月17日の日本ハム戦(東京D)から1番で9試合連続先発。

昨季のように切り込み隊長となる中、直近2試合はオコエと1、2番を形成する。この日は2人でチームの全得点となる5打点をたたき出した。試合前練習などで質問されることも多いオコエについて背番号8は「調子乗ったら打つ。打つと(オコエは)守備でも指示を出すからね」と愛情を込めた“丸節”で語る。阿部監督は「丸とオコエでここ数試合、メイクチャンスしたり、かえしてくれている。動かせなくなってきた」と称賛した。

 今季は右大腿(だいたい)二頭筋筋損傷で離脱した影響で出遅れた。5月27日が1軍初出場。1軍合流直後は適応に苦しんだ。もがく中で浮上の糸口の一つになったのが7日の試合前練習。フリー打撃中に阿部監督から声をかけられ、実演を交えながらフォームを見直した。「下半身の意識。

軸足を意識しながら」。体の開きを抑えて、下半身主導で振り抜くことを再確認。修正後、17戦中15試合でHランプをともすなど、上昇気流に乗り出した。

 戦う責任は年々増す。オフには闘病中の児童とその家族の滞在施設「ドナルド・マクドナルド・ハウス せたがや」や、生活困窮世帯の子供に食事支援する「丸メシプロジェクト」の一環で中高生向け施設を訪問。自身の成績に応じて施設に寄付するなど、支援活動に積極的に参加する。「困っている方たちを目の当たりにして、何かできないかと思った」と、18年の西日本豪雨災害の時から行動を起こし始めた。「野球選手がやることでより世間に活動があると伝えられると思う。野球選手の時だけしかできないこともある。成績を残せばもっと貢献できる」と自身の糧にもしている。

 申告敬遠を含めて1安打4四球で、移籍後初の1試合5出塁。勢いに乗せられたように投打がかみ合い、2連勝で貯金生活に戻った。

「チームが勝てるようにできることをしたい」と語るベテランとともにチームは息を吹き返し始めた。(宮内 孝太)

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