◆大相撲名古屋場所7日目(19日、IGアリーナ)

 大関・琴桜が、東前頭4枚目・伯桜鵬を寄り切って2敗を守った。西前頭16枚目・御嶽海が新入幕の藤ノ川に敗れて全勝がいなくなり、トップと1差に接近。

初めて綱取りに挑んだ今年初場所から苦戦が続く大関が、真夏の土俵で巻き返しを期す。新横綱・大の里は金峰山を寄り切り1敗をキープ。大の里と関脇・霧島、平幕の玉鷲、一山本、御嶽海、草野の6人が1敗で並んだ。

 琴桜の厳しい攻めに、新アリーナがどよめいた。立ち合いで強く踏み込んで左差し、右上手も十分。得意とは逆の左四つも、上手で引きつけながら、伯桜鵬の上体を起こして寄り切った。会心の内容に「自分の相撲を心がけて、落ち着いて取れたと思う」と振り返った。

 初顔の桜対決には、看板力士として「目の前の一番なので、そこは変わらない」と21歳の挑戦を退けた。八角理事長(元横綱・北勝海)も「琴桜は良くなっている。自分から攻めている」と評価した。

  昨年の九州場所で初の賜杯を抱いた。1月の初場所では初の綱取り挑戦もまさかの5勝10敗。

続く春、夏場所はともに8勝7敗と優勝争いに絡めず。その間に出世を競ってきた豊昇龍、大の里が横綱に昇進した。同世代に先を越される形となった。

 これまで悔しさは胸にしまい込んできたが、今場所前に逆襲への誓いを立てた。両横綱が熱田神宮で奉納土俵入りしたのと同じ今月5日。名古屋市内のイベントで七夕の短冊に「優勝 横綱」と記した。ファンから「いつになったら横綱に上がられますか?」と手厳しく質問されると、「一日でも早く見せられるように」と力強く答えた。

 4日目からの4連勝で、トップに1差接近。今場所は締め込みを明るめの緑色に新調したが、黒星が先行していた4日目からは、以前使っていた緑色のものに戻し、そこから連勝が始まった。「目の前の一番に集中していることが(連勝に)つながっている」と手応えも口にした。真夏の名古屋で白星を伸ばし、周囲の期待には結果で応える。(大西 健太)

編集部おすすめ