◆大相撲 ▽名古屋場所7日目(19日、IGアリーナ)

 大関・琴桜が、東前頭4枚目・伯桜鵬を寄り切って2敗を守った。西前頭16枚目・御嶽海が新入幕の藤ノ川に敗れて全勝がいなくなり、トップと1差に接近。

初めて綱取りに挑んだ今年初場所から苦戦が続く大関が、真夏の土俵で巻き返しを期す。

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 複雑な心境だった。琴桜は先代(元横綱・琴桜)の孫。一番弟子の私は子供の頃から「まさかつ」と呼んでかわいがってきた。伯桜鵬は先代の故郷でもある鳥取・倉吉市の出身。しこ名の由来は名所・打吹(うつぶき)公園の桜。倉吉市には先代の銅像が立っている。私の胸はなぜか騒がしかった。

 琴桜がやっと調子を上げてきた。序盤で2敗した時には「今場所も8勝7敗か負け越しか」と思ったが、攻めが早くなった。右上手を取って左四つ。右四つ得意の琴桜だが、左四つの方が攻めがスムーズなように見えた。

新しい発見だ。

 私の願いは最後まで大の里に食らいつくことだ。大きな大の里を止められるのは大きな琴桜しかいない。直近4場所はまさに敗戦処理の投手のようだった。今場所こそ存在感を示さないと、琴桜というしこ名を返上しろという声も出てくるのではないか。(元大関・琴風、スポーツ報知評論家)

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