◆JERAセ・リーグ 巨人1―2阪神(20日・東京ドーム)

 阪神・藤川球児監督(45)が攻めのタクトで快挙を成し遂げた。球団史上初めて球宴前の巨人戦のシーズン勝ち越しを決めた。

「大事な対戦カードと思ってやらせていただいているので、勝った負けたというのは…。また明日も同じ気持ちでやる」。いつも通り、先を見据えた発言に終始したが、伝統の一戦の歴史に残る1勝になったのは間違いない。

 想定内のリレーだった。デュプランティが来日最悪の5四死球と苦しむ状況で3回無失点ながら、2点リードの4回から岩貞を投入。「本人(デュプランティエ)の中でも少し疲労があった。3回もいってくれたので十分」。5回以降は皆が連投で湯浅の2イニングに始まり、及川、石井とつないで守護神・岩崎が締めた。「勝負」と位置づけた3連戦前に2日間ゲームが空いた利点を存分に生かした。

 球児監督のTG戦にかける思いは半端なかった。就任直後に“色”に過敏に反応する自分に驚いた。正月には定番のみかんを視界に入らないよう、遠ざけていた。

「最初、オレンジが気になって。監督になると、そうなるんだって思ったよ」。少年時代はG党。プロ生活は球団最多782登板のうち、巨人戦にチーム別トップの144登板してG倒の象徴になった。そして、指揮を執る立場で宿敵への対抗心がさらに高まり、快進撃の原動力にしている。

 チームは連勝で2位に今季最大10・5差とし、貯金も最多タイの19に戻した。ビジター10連勝も18年ぶり。「残った数字を気にしている余裕はないかなと思います」。21日に45歳の誕生日を迎えた青年監督は2年ぶりのリーグ制覇へ、歩みを止めない。(小松 真也)

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