◆バレーボール ▽ネーションズリーグ(NL)男子千葉大会 日本3ー0米国(20日・千葉ポートアリーナ)

 1次リーグ最終戦が行われ、世界ランク6位の日本が、昨夏のパリ五輪銅で同5位の米国を3―0で破った。大会8勝目(4敗)を挙げ、開催国と上位7チームによる決勝大会(30日開幕、中国)進出を決めた。

石川祐希主将(29)=ペルージャ=が、右肩痛などの状態不良から2戦ぶりに先発復帰。過去の対戦で75勝138敗の難敵に対し、高橋藍(らん、23)=サントリー=との両エースが攻守で快勝へと導いた。

 頼れる主将が大一番でほえた。決勝大会への切符を自力でつかみ取った。マッチポイントから、藍がバックアタックを突き刺して勝負を決めると、石川も右拳を握り、笑顔で歓喜の輪に加わった。超満員7375人の大観衆の前でホーム最終戦で快勝。2戦ぶりの復帰で、チーム3位の7得点と勝負強さを示した主将は「決勝大会に進出するという目標を達成できてうれしい」と大歓声に応えた。

 5月にイタリアでのシーズンを終了後、別調整して千葉大会から合流。16日の初戦は22得点を挙げたが、約2か月ぶりの実戦で試合勘を取り戻せず、右肩も痛めた。17日のアルゼンチン戦は第4セット(S)途中で下がり、18日のブラジル戦は登録外。それでも「打てない状況ではない」と試合前に痛み止めを服用。決勝大会切符を懸けた大一番で先発復帰。

第1Sからエンジン全開で、1―0でバックアタックを決めるとほえてチームを鼓舞。12―13から2連続得点で逆転し、石川らしい多彩な攻撃でけん引。第3S途中に下がるまで存在感を放った。

 イタリア10季目の伊1部でも新たな挑戦を試みた。4月のプレーオフ3位決定戦前にペルージャのロレンツェッティ監督(61)の指導で、サーブ時のトスを左から利き手の右に思い切って変更。トスを操作しやすくなり安定性が上がったといい「もったいないミスがなくなっている」と手応え。「変化がないと成長していけない」。五輪メダル獲得、世界一の選手へ向けた探求心は貪欲なままだ。

 28年ロサンゼルス五輪へロラン・ティリ監督(61)の新体制で歩み出した日本。昨夏のパリ五輪でメダルに届かなかった経験から「大事な大会で表彰台に立つ経験や表彰台を懸けて戦う試合は、間違いなくレベルが高くなる。ロスでメダルを取るために必要」と石川は3年後を見据える。30日からの決勝大会は、昨年大会銀の立役者となった背番号14の本領発揮の舞台となる。

(宮下 京香)

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