2006年退団から19年になる宝塚歌劇元星組トップスターで女優・湖月わたる。8月から年内にかけていくつか夢がかなう。

来月4~6日にはライブ「CRUSH ON JAZZ」(東京・セルリアンタワー東急ホテル2階・JZ Brat)を開催。「宝塚時代からいろんな曲で踊り、特にジャズには深い縁を感じてきた。それだけに一度、ジャズライブは夢でした。年齢を重ね、自分の体を見つめ直し、自分の喉ともしっかり向き合おうと」。有名な「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」など16曲ほど披露する予定だ。

 12月には元星組トップ、柚希礼音との共演で「マイ フレンド ジキル」(瀬戸山美咲演出、東京・よみうり大手町ホール、大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ)。知られた「ジキル博士とハイド氏」をモチーフに、「語り」「踊り」で展開するダンス演劇。2人の共演に感慨深い人も多いだろう。「柚希さんとは10学年離れていて、新人公演で私の主演作をやる機会も多かった。私の中で特別な存在。いつか2人でタッグを組めたら、と思ってきた。この企画をいただいたとき、本当にうれしかった」。

これ以上ないダイナミックなダンスを見せてくれそうだ。

 中学卒業後、すぐ宝塚音楽学校へ飛び込んだ湖月は退団後、高卒認定を経て放送大学で心理学と教育を学び卒業。高卒の資格を目指し「音楽学校の時に1年間、NHK学園というところに通い、友達もできたのに次第に余裕がなくなって」勉強は遠のいた。月日は流れ、当時の学友から手紙が届く。そこには高校の後、大学も卒業したことが書かれていた。「それを読み、ものすごい敗北感、奈落の底に突き落とされたような。私、何やってたんだろう、と自分自身に腹が立ったんです」。この言葉に人柄がにじむ。懸命、誠実に生きていれば、かなえたい夢もおのずと近づいてくるはずだ。(内野 小百美)

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