◆大相撲 ▽名古屋場所14日目(26日、IGアリーナ)
東前頭15枚目・琴勝峰が2敗を守り、単独トップに立った。関脇・霧島を上手投げで破った。
勝負を決めても表情を一切変えなかった琴勝峰は、土俵下に腰を下ろすと小さく息を吐いた。「体が勝手に動いて良かった」。元大関・霧島との一番は、激しい押し合いになったが後退はしなかった。さらに攻め立てる相手を右へ動きながらいなし、最後は上手を引いて投げた。左腹は擦りむけ、少量の出血があったが「いつなったかは分からない。無心です」と冷静に話した。
自身の取組前には2敗で並んでいた安青錦に土が付き、勝てば単独トップで千秋楽を迎えることになる土俵。
史上38回目、37人目の平幕優勝に王手をかけた。今場所の番付は東前頭15枚目で、5番目に低い番付での優勝だ。さらに所属する佐渡ケ嶽部屋は先代の琴桜(元横綱)ら過去9人の優勝力士を輩出。琴勝峰が初賜杯を抱けば、部屋では節目の10人目。部屋別では出羽海、高砂に次ぐ10人以上の優勝力士を輩出することとなり、歴史に名を刻む。
優勝について琴勝峰は多くは語らない。だが、埼玉栄高時代に、同校の先輩で大関・豪栄道(現武隈親方)が16年秋場所に賜杯を抱いたことが印象に残っている。「高校の先輩が大相撲で活躍しているのはすごいと思った」と憧れを抱く。
師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇・琴ノ若)は大一番へ向けて「ここまで来た人にしか楽しめない。勝ち負けより自分の相撲を取り切りなさい」と声を掛けるといい、この言葉は部屋の大関・琴桜が優勝した24年九州場所時にも伝えた言葉だ。
◆平幕優勝 昨年春場所の尊富士ら過去に37度(36人)達成した。前頭15枚目の琴勝峰が優勝すれば同17枚目の出羽湊、徳勝龍、照ノ富士、尊富士に次いで低い番付となる。
◆部屋別優勝回数 トップは出羽海の52回(三重ノ海ら16人)、2位は高砂の46回(朝青龍ら12人)。佐渡ケ嶽部屋は11位タイの15回で9人(初代の元横綱・琴桜、長谷川、琴風、琴富士、琴錦、琴光喜、琴欧洲、琴奨菊、現大関の2代目・琴桜)。