歌舞伎俳優の中村勘九郎が主演する「八月納涼歌舞伎」(8月3~26日)の第3部「野田版 研辰の討たれ」の特別ビジュアルが27日、初公開された。
野田秀樹氏の脚本・演出による野田版歌舞伎の第1弾として、2001年8月の歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」で初演し、シネマ歌舞伎でも愛された名作。
野田氏は稽古場で「ずっと勘三郎と一緒にやっていたので、勘三郎の面影を追ってしまう部分もありますが、稽古が進んでいくうちに新しいものになっている気がしていて、新鮮な舞台になっていると思います」と手応えを口にした。特別ビジュアルの撮影は、世界的に活躍するフォトグラファーのTAKAY氏。デザインは高橋歩氏が手掛けた。
◆「野田版 研辰の討たれ」 粟津藩藩士の守山辰次(勘九郎)は、元は刀の研屋。お調子者の辰次は、殿様の刀を研いだ縁で武士に取り立てられるも、町人根性が抜けず、周囲からは蔑まれる始末。主君の仇討ちを見事成し遂げた赤穂浪士に沸き上がる道場でも、仇討ちの馬鹿馬鹿しさを言い放つので、家老の平井市郎右衛門(幸四郎)にこっぴどく叱られ、粟津藩主の奥方萩の江(七之助)の前で散々に打ち据えられる。仕返しをしようと仕掛けたからくりが元で市郎右衛門を死なせてしまうと、その息子の九市郎(染五郎)と才次郎(勘太郎)の兄弟に仇として追われることに。