◆大相撲 名古屋場所千秋楽(27日・IGアリーナ)

 東前頭15枚目・琴勝峰(25)が、13勝2敗で初優勝を果たし、IGアリーナ初代覇者として歴史に名を刻んだ。3敗の東前頭筆頭・安青錦(21)=安治川=を突き落として、昨年春場所の尊富士以来となる史上38回目(37人目)の平幕優勝。

兄弟子の大関・琴桜(27)=ともに佐渡ケ嶽=と切磋琢磨(せっさたくま)してきた大器がついに開花した。秋場所は9月14日から東京・両国国技館で行われる。

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 琴勝峰は口数は少ないが、生真面目で人情深い。18年初場所、当時のしこ名は琴手計(てばかり)で、まだ序ノ口だった頃。琴奨菊(現秀ノ山親方)らが稽古する土俵脇で塩持ちをしながら、関取衆の動きを凝視。まげも結えない短髪の18歳は貪欲に技を盗んでいた。

 新十両になった際には、現役だった琴奨菊から「後援者へのあいさつ回りで名刺代わりになれば」と、元力士で相撲漫画家の故・琴剣さんが描いた似顔絵入りどんぶりを300個プレゼントされ、涙を流して喜んだ。

 入門直後から師匠・佐渡ケ嶽親方が「最低でも大関、最高の横綱になれるように」と期待する大器。しこ名にある「峰」は頂点の意味も込めた。25歳の初賜杯は、まだ序章だ。(春)

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