女優・吉永小百合が27日、65年の歴史に幕を閉じた東京・丸の内TOEI最終日のグランドフィナーレにサプライズで登壇した。

 突然のトップ女優の登場に、客席はざわついた。

最後の上映作は東映の大功労者、高倉健さん(2014年没、享年83)と吉永が初共演でダブル主演した「動乱」(1980年、森谷司郎監督)。昭和の五・一五事件から二・二六事件までの激動の時代を背景に、寡黙な青年将校とその妻を描いた大作が選ばれた。

 「すてきな映画館がなくなってしまうのはつらい…」と言葉を詰まらせた。引退も頭をよぎる状態にあった吉永は、高倉さんとの共演を通じ、再び映画女優として生きる決意をした。

 「私が初めてこの劇場でごあいさつしたのは80年1月15日、この『動乱』の初日でした。きっと高倉健さんも空からご覧になっていると思う。ここで計20本の作品で舞台あいさつしました」。続いて、2021年にコロナ禍で公開された「いのちの停車場」のときの話に。「『スクリーンから飛沫(ひまつ)は飛びません!』と過激なことを申し上げたこともありました」と振り返った。

 一方で、ここで出演作を観客として見た思い出にも触れた。「窓口でそっと『1枚ください』と買って座って。笑ってくださるかしら、しんみりされるかしら、と反応を気にしながら見たことも忘れられません」。

吉永にとっても大事な場所がひとつ消える。「いつまでも忘れたくない」と自分に言い聞かせるように話していた。

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