大相撲名古屋場所で13勝を挙げ、平幕優勝を果たした琴勝峰(25)=佐渡ケ嶽=が千秋楽から一夜明けた28日、名古屋市内の部屋宿舎で会見を行った。史上初の平幕Vから連覇を目指す秋場所(東京・両国国技館、9月14日初日)は、幕内上位まで番付を上げることが濃厚。

上位総当たりで立ちはだかるであろう同学年の横綱・豊昇龍(26)=立浪=らを倒し、連続の賜杯を狙う。

 優勝から一夜明けた琴勝峰に、前日(27日)よりも柔らかい表情が浮かんだ。眠そうな目をこすりながら「まだ自分が優勝したのかなという感じ。事実としてはわかっているが、不思議な感覚」と心境を明かした。昨年春場所の尊富士以来となる史上38回目(37人目)の平幕優勝を飾った。番付を大きく上げることが濃厚な秋場所では史上初の平幕Vからの連覇がかかる。「まだまだ挑戦者の立場。地力をつけて厳しい相撲を取りたい」と意気込んだ。

 これまで平幕で優勝を飾った力士の翌場所は、上位勢と対戦することが増え、成績を出せない傾向にある。琴勝峰にも、今場所で対戦がなかった横綱・豊昇龍、埼玉栄高の同期の幕内・王鵬(25)=大嶽=ら同学年が壁として立ちはだかる。同じ平成11年(99年)度生まれには関取経験者が10人。タレントぞろいの平成11年度生まれが「花のイチイチ組」と呼ばれる中で、存在感を示す必要がある。

 同学年の中で琴勝峰は一番先に新入幕を果たし、21歳で東前頭3枚目まで番付を上げ、世代のトップを走ってきた。しかし、その後は故障が重なり2度の十両転落。その間にライバルたちに番付で追い抜かされた。「『自分も活躍していかないと』と思った。同級生たちから刺激をもらっている」と対抗心を燃やした。

 名古屋場所は右太もも痛を抱える中、前に出る攻撃相撲が開眼。「圧力をかけて流れをつかむことが重要だとわかった」と復活の手応えをつかみ、IGアリーナ初代覇者として歴史に名を刻んだ。記者会見後には、色紙に「三役」と目標を記した。「次の場所もある。浮かれずに自分のやるべきことをやっていきたい」。ついに目覚めた190センチ、167キロの体を誇る25歳の大器が、再び世代の主役となる。(大西 健太)

 ◆花のロクイチ組 昭和61年(1986年)生まれには元横綱・稀勢の里(現・二所ノ関親方)、元大関・豪栄道(現・武隈親方)、元関脇・栃煌山(現・清見潟親方)ら有力力士が多くそろうため、「花のロクイチ組」と呼ばれる。

現在、現役の関取は十両・宝富士のみ。

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