今年2月の大阪マラソンで2時間6分5秒の日本学生新記録をマークした青学大のエースで主将の黒田朝日(4年)が来春、卒業後の進路先として、GMOインターネットグループ(GMO)に絞ったことが28日、分かった。初マラソンで日本歴代9位(当時、現10位)で走破した逸材に多くの実業団がオファー。

熟慮した結果、東京世界陸上マラソン代表の吉田祐也(28)、プロランナーとして所属契約を結ぶ太田蒼生(22)ら青学大の先輩の好選手が多く在籍し、青学大の原晋監督(58)がEKIDENダイレクターを務めるGMOに進む意思を固めた。近日中に正式発表される見込み。

 学生3大駅伝で抜群の強さを誇る黒田朝日は原監督に「駅伝男」と呼ばれている。1年時は一度も出場しなかったが、2年時の出雲駅伝でデビューすると、以来、3大駅伝に6大会連続出場。すべて主要区間を担い、区間賞3回、平均区間順位1・83位。特に箱根駅伝では2年時に「花の2区」(23・1キロ)で1時間6分7秒で区間賞。3年時は2区で区間3位ながらも従来の区間記録を超える1時間5分44秒と激走し、青学大連覇の立役者となった。

 今年2月には「駅伝男」から「マラソン男」に進化した。初挑戦の42・195キロとなった大阪マラソンで終盤まで優勝争いに加わり、日本人3位の6位と大健闘した。3週間前の別府大分毎日マラソンで青学大の先輩の若林宏樹がマークしたばかりの日本学生記録(2時間6分7秒)を2秒更新する2時間6分5秒でゴール。大会側のコース誘導ミスで10秒弱のロスがあり、実際には2時間5分台で走破した。

 大阪マラソンの後、疲労回復に重点を置き、シーズン上半期のビッグイベントの関東学生対校選手権(5月、相模原ギオンスタジアム)は回避。

6月、出身地の岡山市で行われた日本学生対校選手権1万メートルでは残り1周まで優勝争いに加わり、28分9秒18で日本人トップの3位となった。レース後、黒田朝日は「マラソンを走った後、今回のレースでどれだけ走れるか、で今季が決まってくると思っていました。勝つことは出来ませんでしたが、まずまずは走れました。地元で充実した気持ちで走れました」と冷静に振り返っていた。原監督は「大阪マラソンの後、原監督は「疲労が完全に抜けるまで『放牧』しました。マラソンを経験して、また一段階、強くなった」とエースの成長に手応えを明かした。

 現在も順調に練習を積んでおり、8月から夏合宿に突入する。エース兼主将として青学大を引っ張っている。「チームとして箱根駅伝優勝が大きな目標です」と意欲的に話す。全力で箱根駅伝3連覇に挑み、学生ラストシーズンを戦い終えた後は「GMO黒田朝日」として、新たなスタートを切る。

 ◆黒田 朝日(くろだ・あさひ)2004年3月10日、岡山市生まれ。21歳。

岡山・玉野光南高3年時に全国高校総体3000メートル障害2位。22年、青学大地球社会共生学部に入学。学生3大駅伝は2年時に出雲駅伝2区区間賞、全日本大学駅伝2区2位、箱根駅伝2区区間賞。3年時に出雲駅伝3区3位、全日本大学駅伝4区区間賞、箱根駅伝2区3位。自己ベスト記録は5000メートル13分29秒56、1万メートル27分49秒60、ハーフマラソン1時間1分39秒、マラソン2時間6分5秒。父の将由さん(43)は法大時代に箱根駅伝で活躍し、徳本一善・現芝浦工大監督らとともに「オレンジエクスプレス」と呼ばれた。弟の然(ぜん)は青学大2年で今季、急成長中。妹の六花(りっか)は強豪の宮城・仙台育英高2年で今年の全国高校総体1500メートル11位。166センチ、50キロ。

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