22日に急性心不全のため死去した元卓球女子日本代表監督の近藤欽司さん(享年82)の葬儀が29日、神奈川・横須賀市の「儀礼館」で営まれた。石川佳純さん、福原愛さん、松下浩二氏、日本卓球協会・河田正也会長、神奈川・白鵬女子高(旧京浜女子商)時代の教え子ら約300人が参列。
五輪3大会連続メダリストの石川さんは参列後に取材に応じ「本当に急だったので、びっくりしました。すごく寂しい思いがあります」としのんだ。近藤さんが女子代表を率いていた2007年世界選手権個人戦に14歳で抜てきされた。「夢だった世界から、自分がここで勝負してみたいといういう気持ちにさせてもらいました。団体戦でも1番で起用してもらったり、普通はありえない大舞台を若いうちにたくさん経験させていただいた。世界で戦う大きなきっかけをくださったのは近藤先生」と感謝した。
実業団の練習に参加した帰りにギョーザを食べに行き、アドバイスをもらった場面。常に練習内容を変化させていた姿。「練習のための練習ではなく、試合のための練習が大事」との言葉も印象に残っているという。団体戦やダブルスの戦術も熟知し、「団体戦で監督をやっていただいたときの安心感はすごくありました。近藤先生といえばユーモアあふれるダジャレもあって…。
五輪2大会連続メダリストの福原さんも「突然のこと過ぎて、ちょっとまだ信じられない。もうあの元気な先生に会えないと思うと、すごくつらい」と声を震わせた。
福原さんは00年シドニー、08年北京五輪など長年、指導を受けた。「近藤先生は父と同い年でした。厳しいところはすごく厳しく、でもユーモラスで。いつも試合前に緊張していると『絶対大丈夫だ』と自信を付けてくださった」。現役引退後も連絡を取り合うなど気にかけてくれていたという。「『嘘だよ』って、どこからか先生出てきてくれるんじゃないかなって。いまだに思ってしまいます」と悼んだ。
近藤さんは白鵬女子高を41年間率い、女子代表監督として世界選手権で計10大会指揮を執って団体で3個のメダルを獲得した。08年北京五輪では福原さん、平野早矢香さん、福岡春菜さんと臨んだ団体で4位。