◆クイーンS追い切り(30日・函館競馬場)

 週末2重賞の追い切りが30日、各地で行われた。第73回クイーンS・G3(8月3日、札幌)に出走するアルジーヌは、函館競馬場・Wコースで精神面の成長をうかがわせる力みない走り。

母娘制覇へ向けて順調な仕上がりだ。

 リラックスした走りに、成長の跡をはっきりと感じた。アルジーヌは函館・Wコースで最終追い切り。単走、馬なりで5ハロン70秒2―12秒5をマークした。スタートしてからも走りに力みがなく、直線ではスッと滑らかに加速した。厩舎に引き揚げる姿も実に堂々としていた。松岡助手は「イメージ通り。時計と動きがマッチしていて、理想的な感じです」と満足げにうなずいた。

 デビューから13戦、掲示板を外したことは一度もない堅実派。昨年の当レースは3着だったが、そこから急成長を遂げた。昨年のターコイズSで重賞を勝ち、完全に軌道に乗った。G1初挑戦だった前走のヴィクトリアマイルでは、勝ち馬からタイム差なしの4着。

直線でほかの馬と接触がありながらも、根性を見せた。「G1であれだけ頑張ってくれましたからね」と同助手は高く評価した。

 メンタル面の成長が、好成績に結びついている。「以前は(ロード)カナロア産駒の女の子らしく、気難しいところがありましたが、気持ちが前に向くようになった。レースに対して真面目になりましたね」と5歳の夏を迎え、心身ともに充実している。

 血統もこのレースに縁がある。母キャトルフィーユは14年のクイーンSをコースレコードで制した。「お母さんもこのレースを勝っていますし、ドラマが見たいですね」と松岡助手は笑みを浮かべた。

 昨年は7番人気の伏兵だったが、今年は上位人気が予想される。「今年は目標にされる立場で、厳しいレースになります。これまでいろんな不安を乗り越えてきてくれているので、馬を信じるだけです」。秋の飛躍につなげるためにも、まずはここで母娘制覇をかなえる。

(山下 優)

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