芸能事務所「ケイダッシュ」の川村龍夫(かわむら・たつお)会長が死去したことが30日、分かった。84歳だった。
川村さんは親分肌で、若輩者の記者にも温かく接してくれた。長年、スポーツ報知を定期購読する愛読者だったこともあり、私が担当したインタビューやコラムが掲載された日には、朝8時頃には電話で感想を伝えてくれた。
その言葉がとてもうれしく、励みになると同時に「下手な原稿は書けないな」と背筋が伸びる思いもした。6月7日に元ケイダッシュの渡辺謙のインタビューを掲載した際にも朝一番に電話をくれた。「有野、謙のインタビュー良かったよ。役者としての魅力がうまく表現されていた。見る目のある記者になったな」と激励してくれた。電話の最後に「近々、事務所にも顔を出してくれよ」と言われたが、スケジュールが合わず、行けなかったことが悔やまれる。
こちらから相談を持ちかけても丁寧に応じてくれた。約50年の親交があったアントニオ猪木さんが亡くなった際には「一緒に北朝鮮に行ったり、モハメド・アリに会ったり、思い出は尽きない。いつも夢を語る男でした」と思い出を披露してくれた。
80歳を超えても若々しく、健康そうな印象しかなかったので、突然の訃報が信じられない。御冥福をお祈りします。(有野 博幸)