◆プロボクシング ▽WBC&WBA世界フライ級(50・8キロ以下)タイトルマッチ12回戦 ●統一王者・寺地拳四朗―WBC2位、WBA3位リカルド・サンドバル〇(30日、横浜BUNTAI)
WBC&WBA世界フライ級統一王者・寺地拳四朗(33)=BMB=はWBA同級3位リカルド・サンドバル(26)=米国=に1―2の判定で敗れ、統一王座から陥落した。
統一王座からまさかの転落だ。
「採点は厳しい。負けたかと思った」。ジャッジ1人に支持されたものの、残る2人は最大7点差をつけて挑戦者に軍配を上げた。父の永(ひさし)BMB会長は「4ポイントは勝っていた」と言葉を失った。だが、拳四朗はフェイントとジャブを駆使して反撃の拳を振るい続けた挑戦者に「本当に強かった」と素直に負けを認めた。
スーパーバンタム級の世界4団体統一王者・井上尚弥(大橋)に続き、日本人2人目の複数階級での統一王者となった拳四朗。5月に米ロサンゼルスへ飛び、ディフェンス面の強化を図った。だが、挑戦者の粘りに「攻めにいくか、足を使うか迷ってしまった」という。
全階級通じての最強ランキング(PFP)で9位につけ、サウジアラビアの国家的興行「リヤド・シーズン」も注目していた拳四朗。初の判定負けに「今は何も考えられない」と絞り出すのがやっと。スーパーフライ級に上げて世界3階級制覇を目指すのも選択肢の一つだが…。
【山中慎介Point】 私の採点では拳四朗選手の1ポイント勝ちだったが、ジャッジのクロスゲームは予感できた。サンドバルはよく研究していた。ダウンこそ取られたが、相手のパンチに自らのパンチを合わせるように出し、ジャッジの印象を良くしていた。実力のある挑戦者だったが、以前の拳四朗選手ならばつかまえきれていたと思う。どこか本調子ではなかったような気がする。(元WBC世界バンタム級王者・山中 慎介)