◆プロボクシング ▽WBOアジアパシフィック・スーパーフェザー級(58・9キロ以下)タイトルマッチ12回戦 ●王者・渡辺海―同級1位・斎藤麗王〇(31日、東京・後楽園ホール)

 WBOアジアパシフィック・スーパーフェザー級タイトルマッチで、挑戦者の同級1位・斎藤麗王(れお、27)=帝拳=が王者・渡辺海(22)=ライオンズ=を3回2分2秒TKOで下し、新王者に輝いた。

 斎藤は初回にいきなり2度のダウンを奪われ、ラウンド終盤はクリンチで何とかピンチを乗り切った。

しかし2回に息を吹き返した。「引いたらだめだと思った。絶対に(相手が)来ると分かっていた」。距離をつぶして王者をロープに詰めた。怒とうの連打で主導権を奪い返し「2回中盤ぐらいから(相手の)スタミナ、馬力が完全に切れたと分かった」。2回終了のゴング後の打撃で減点1を科されたが、3回も手を止めることなく連打を浴びせ続け、レフェリーが試合をストップ。渡辺のジム名、斎藤の名前にちなんで“ライオン対決”として注目された一戦。絶対絶命の劣勢をひっくり返す大逆転劇に、後楽園ホールが熱狂した。

 リング上では、今年3月に祖母が亡くなったことを明かした。ガウンには祖母が残した「心を豊かにしなやかに」との言葉を刺しゅうして入場した。「きょうの勝利を捧げられたことがうれしい。このベルトを見せられなかったが、お墓に持って行くことができるので良かった。

プロボクサーになったことも話せていないので、プロになってチャンピオンになったよと胸を張って報告したい」と涙で声を詰まらせた。

 日章学園高時代に高校選抜、インターハイ、国体などで高校6冠を達成。東農大ボクシング部では主将を務めるなど、アマ戦績81戦70勝11敗のアマエリートだった。しかしプロデビュー4連続KO勝利で迎えた今年1月の5戦目で、中井龍(角海老宝石)に7回TKO負け。「やめようと思いましたし、ボクシング自体やる気がないぐらいまで落ちちゃった。生まれ変わりじゃないが、プロフェッショナルとして、というところをその瞬間に感じたところが大きかった」とターニングポイントを振り返った。

 激闘を制した新王者は「やってる以上は世界が目標だが、こんな戦いをやっていたらいつか本当に死ぬと思う」と苦笑しながらも、「勝ち進んで、世界のベルトに手をかけられるような選手になりたい。もっと上を目指したい」とさらなる飛躍を誓った。

 戦績は斎藤が7勝(7KO)1敗、渡辺が14勝(8KO)3敗1分け。

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