◆第176回ナッソースステークス・英G1(現地時間7月31日、グッドウッド競馬場・芝1980メートル、不良)

 英国伝統の夏の中距離女王決定戦に5頭が出走し、ライアン・ムーア騎手が騎乗した1番人気(単勝2・25倍)のワール(牝3歳、愛・エイダン・オブライエン厩舎、父ウートンバセット)がG1連勝を決めた。

 荒天でレース直前には空がゴロゴロと鳴り、落雷の恐れがあるため10分遅れての発走。

ゲートを使用せずスターティングフラッグを合図にスタートした。ハナを切ったワールは重い馬場のなかを軽快に突き進み、4頭を引き連れて最後の直線では外ラチ沿いへ。残り1ハロンであっさり後続を突き放し、5馬身差をつけての圧勝だった。勝ちタイムは2分8秒43。

 同馬は6月の英オークスではミニーホークとの競り合いの末に敗れて首差2着。古馬と初対決だった前走のプリティポリーSでは凱旋門賞前売りで1番人気のカルパナに1馬身1/4馬身差をつけて完勝。初めてのグッドウッド競馬場でも強さを見せつけた。

 昨年のオペラシンガーと同じムーア騎手とAオブライエン調教師のコンビ。同レース5勝目となったムーア騎手は「スタートは理想的とは言えませんでしたが、彼女は指示した通りに走ってくれました。とても落ち着いていて、能力も十分。速い馬場も遅い馬場もこなせます。この牝馬は時とともに進歩し続けています」と絶賛。

6勝目となったオブライエン調教師は「G1レースで、このようなスタートになったのが、前はいつだったか思い出せません。彼女は素晴らしい牝馬です。ライアン騎手は素晴らしい騎乗を見せてくれました」と大喜びだった。

 前走のコロネーションS(アスコット)でG1初制覇のセルセネ(ゲイリー・キャロル騎手)が2着。昨年、首差惜敗のシーザファイヤー(オイシン・マーフィー騎手)が今年は3着だった。

 ナッソーSは1着賞金が34万260ポンド(約6694万円=2025年JRA発表のレート1ポンド196・7390円で計算)。日本調教馬ではディアドラ(オイシン・マーフィー騎手)が2019年に制している。

 大手ブックメーカーのウィリアムヒルでは、先週のキングジョージ6世&クイーンエリザベスSで2着のカルパナ(牝4歳、英・アンドリュー・ボールディング厩舎、父スタディオブマン)が1番人気(7倍)。今回のナッソーSでVのワール(追加登録が必要)は、4番人気タイ(17倍)から2番人気(9倍)に浮上。英愛オークス馬のミニーホーク(牝3歳、愛・エイダン・オブライエン厩舎、父フランケル=追加登録が必要)が3番人気(13倍)で続く。

 日本から北村友一騎手で参戦が発表されたクロワデュノール(牡3歳、栗東・斉藤崇史厩舎、父キタサンブラック)は、17倍で5番人気タイ。坂井瑠星騎手が騎乗するシンエンペラー(牡4歳、栗東・矢作芳人厩舎、父シユーニ)は34倍。

ビザンチンドリーム(牡4歳、栗東・坂口智康厩舎、父エピファネイア)は67倍となっている。

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