バレーボールSVリーグ女子の姫路は1日、日本代表で18歳の秋本美空が2025~26年シーズンはドイツ1部のドレスナーSCに期限付き移籍すると発表した。期限は来年5月末まで。
揺るぎない決意だった。ゴールドのネイルで登壇した秋本は「スパイク、レシーブ、全てで世界に通用する選手になりたい。どれだけできるのか、すごい楽しみ。ドイツでいろんな経験をし、強くなって日本に帰ってきます」と、母・愛さんも見守った会見で真っすぐな思いを口にした。9月中にはドイツ1部で優勝6度を誇る強豪ドレスナーSCに合流し、10月のリーグ開幕戦に臨む。
夢をかなえるための挑戦だ。もともと海外でのプレー希望を持つ中で、4月頃にドレスナーSCからオファーを受けた。東京・共栄学園高3年時の1月に姫路に入団してから半年余り。元代表エースの木村沙織は26歳、現代表主将の石川真佑は23歳で実績を残してから海を渡ったが、18歳の秋本は「五輪に出て、金メダルを取れるチームに自分ができる選手になりたい」と異例の決断を下した。
国内では、身長185センチの自身より高さのある相手が少ない。6月に代表デビューし、ネーションズリーグを戦う中で「自分より高い選手が多い。
ドイツに行くのは初めてで、慣れない地で一人暮らしが始まる。昨季は米国でプレーした代表の先輩・小島満菜美(30)から勧められたアプリで「毎日単語とリスニングをしている」と英語は習得中。「言葉が通じないのは不安。でも町はきれいだし、プレッツェル(焼き菓子パン)がおいしいと聞いたので、食べてみたい」と目を輝かせた。次世代を担う大器が、バレー界の新たな道を切り開く。(宮下 京香)
◆10代で海外挑戦をした選手 男子の石川祐希が中大1年時の14年10月、18歳でイタリア1部・セリエAのモデナに約3か月間の短期派遣された。男子の川野琢磨は18歳だった東京・駿台学園高3年時の今年1月、セリエAのピアツェンツァに高校生で初となる約2か月間の短期留学した。
◆秋本 美空(あきもと・みく)2006年8月18日、神奈川県出身。18歳。
若い選手育成し欧州勢と対峙も可能
秋本が新天地に選んだドイツ1部について、姫路の上原光徳代表取締役社長(64)は「セリエAはミスするとベンチに下げる。ドイツは若い選手を育てるリーグ」と説明した。世界最高峰と言われるイタリア1部・セリエAよりレベルは劣るが、秋本が望む欧州勢の高さと対峙(たいじ)することも可能で、成長を後押しそうだ。
ドレスナーSCは1990年に創設され、リーグで6度、ドイツカップで昨季を含む7度の優勝を飾った名門。10年に欧州チャレンジ杯、21年にスーパー杯でも頂点に立った。日本のチーム単位では、主に世界クラブ選手権以外で欧州の強豪と戦う機会は得られないが、ドイツリーグなどを制すれば欧州の大会にも参戦できる。