◇自動車レース▽スーパーGT第4戦「FUJI GT SPRINT RACE」 第1日(2日、静岡・富士スピードウェイ=1周4・563キロ)
公式戦では史上初開催となったスプリント戦で、レース1の予選と混走での決勝(35周)が行われた。GT500は史上初の総合3連覇を目指す坪井翔(auトムスGRスープラ)が圧巻の強さで今季2勝目、通算9勝目を挙げた。
異例づくしのスプリント戦でも、坪井の強さは盤石だった。気温33度の熱気の中、完勝劇を演じた。SC(セーフティーカー)解除明けの6周目に仕掛けてトップを走る阪口をパス。その後は時折、弱い雨も落ちる中、後続を突き放した。
「予選の1コーナーで曲がりきれずに砂利を踏んでしまいました。あまりにもダサい予選でした。よく2位に入れたなというほどの大失敗。それでも、2位に入れたのはスピードがあるということ。決勝前には勝てるかなと思っていましたが、何が起こるかわかりませんから」と振り返った。
公式予選後、ポールポジションを獲得した阪口も「坪井君はさらに3段階も強い。だから(1位を)守るという気持ちはない」と警戒していた。それでも、タイヤ交換やドライバー交代もない決勝では独走。多くのドライバー、チームがマークする中での今季2勝目。坪井の強さが際立った。
サクセスウェート(獲得ポイントに応じたハンデの重さ)がないフォーマットは、王者auトムスには強烈な“追い風”となった。同じ条件だった開幕戦(岡山)で圧勝。40キロのハンデを背負った第2戦(富士)は2位。70キロの第3戦(マレーシア・セパン)も7位と底力も証明してきた。
「正直、(総合3連覇に向けて)メリットしかない。普通ならこの第4戦は取れても1、2点。10点も取れたのは大きい。
3日のレース2は、同僚の山下健太(30)がハンドルを握る。圧倒的な底力を見せる王者の走りから目が離せない。(今関 達巳)
◆auトムス トヨタのワークスチームのドライバーとして活躍していた舘信秀会長が1974年に設立した名門チーム。スーパーGTには2台体制、KDDI(au)とデロイト・トーマツという有力企業のサポートも受けて参戦している。伊藤大輔監督(49)、坪井翔(30)、山下健太(30)のトリオは不変。昨年はエースナンバーの36号車でV2。今年は栄光の1号車で史上初のV3を狙う。
◆第4戦の競技方式 2、3日の各日に公式練習、予選、決勝を開催。「レース1」の2日はGT500、GT300両クラス混走で35周。「レース2」の3日はGT500、GT300のクラス別50分2レースで争う。ともにドライバー交代、タイヤ交換、燃料補給、サクセスウェートなしのスプリント戦。
大魔神・佐々木総監督1勝 大魔神が“今季初勝利”を挙げた。終盤までもつれたGT300は、佐々木氏が総監督を務めるDステーションが逃げ切った。佐々木総監督は「よく粘ってくれました」と大きくうなずいた。中盤以降は1~3位が三つどもえ状態となり、最終的に2位グッドスマイルとの差はわずか0秒785。スプリント戦特有のレース展開に佐々木氏は「トップに立ってからゴールまで長く感じた」と苦笑いで振り返ったが、ファグが相手の猛追を振り切った。英国出身の25歳は「(あしたは)半袖と短パンでのんびり見るよ」と上機嫌に笑った。
◆Dステーション・レーシング 2017年発足。同年から佐々木主浩氏が総監督を務める。世界耐久選手権など世界の舞台で実績を残し、スーパーGTには17~20年まで参加した後、24年から復帰。