◆第107回全国高校野球選手権大会第4日 ▽1回戦 東洋大姫路5―3済美(8日・甲子園)
東洋大姫路(兵庫)が5―3で済美(愛媛)を破り、14年ぶり夏の甲子園1勝を挙げた。昨冬の交通事故など度重なるけがから復帰した高田瑠心一塁手(3年)が自身初の聖地で同点の7回、好守で相手の勝ち越し打を阻止。
ようやくたどりついた大舞台で躍動した。3―3の7回2死二塁のピンチ。東洋大姫路の一塁手・高田が、ライナー性の打球を横っ跳びでグラブに収めた。「必死に追った結果。苦手な守備で目立ったのは、打つよりうれしい」。歓声と笑顔の仲間に迎えられ、その裏の攻撃での味方の勝ち越し劇を呼び込んだ。
昨年11月の神宮大会では4強を経験。しかし12月、練習を終えて自転車で寮に帰る途中、バス停の近くの下り坂で段差に引っかかり転倒した。そこに通りかかったバスと接触。「ほんま奇跡的。生きていて、良かったと思います」。
今春の近畿大会からベンチに復帰すると、決勝から「4番・一塁」で出場を果たし、いきなり決勝点をマークした。しかし、順当に勝ち進んでいた夏の兵庫大会4回戦を終えた翌日、実戦練習で走者と接触し、今度は左手首を骨折。「もう、無理やな」と心は折れかけたが、諦めなかった。トレーナーに相談して5回戦当日に手術。準決勝には戦列に戻り、聖地メンバー入りを果たした。「ほんま、やっと。近いようで、遠かった」。初めて1ケタの背番号「3」をもらうと、勝負を分ける場面で、結果を出した。
この日は、先発の木下鷹大も「あまり状態は良くなかった」と苦しんだ中、7安打3失点完投。守り勝つ力も見せた。
◆高田 瑠心(たかた・りゅうしん)2007年5月30日生まれ。18歳。9年一貫教育の姫路市立豊富小中学の3年時から豊富ジュニアーズで野球を始め、7年時から播磨ボーイズでプレー。東洋大姫路では1年夏からベンチ入り。175センチ、78キロ。右投左打。