◆JERA セ・リーグ DeNA3―4巨人(9日・横浜)
巨人は代打攻勢がハマってDeNAに逆転勝ちし、貯金1とした。打線は1点を追う6回、泉口友汰内野手(26)の5号ソロで同点に追いつくと、なお1死一、三塁で代打・坂本勇人内野手(36)が一時勝ち越しの適時二塁打。
全員野球で相手を1点上回った。阿部監督の采配、代打策、起用に選手たちが応えて総力戦で勝利をもぎ取った。「みんな頑張ってくれました」。若手もベテランも真夏の横浜で躍動。3時間44分の熱戦を制し、7月12日以来28日ぶりの貯金「1」となった。
同点の8回1死満塁。リチャードの代打・大城卓が決勝の左犠飛。「何とかバットに当てて前に飛ばそうと思って」と2ストライクから外角直球に食らいついて外野まで運んだ。泉口がヘッドスライディングで生還するとホッとした表情を見せ、「久しぶりにチームに貢献できたなと。
現在は本職の捕手の練習はせず、主に代打と一塁手としての役割を任されている。配球やリード面を考えず、打撃に集中して状態を上げてほしいとの首脳陣の思いもある。捕手へのこだわりや悔しさがないはずがない。それでも「与えられたところで全力でやるしかないので」。献身性を見せて仕事を全うしている。
同点の6回1死一、二塁で増田陸の代打に坂本が登場。打席中に一、三塁と状況が変わったあと「何とか走者をかえそうと思った」と左腕・ケイから左翼線に一時勝ち越しとなる二塁打。阿部監督は代打で勝負強さを見せた2人のベテランを「大事なところでいってもらわないといけない選手なので。仕事をしてくれたので勝ちにつながった」と称賛。試合の後半で、どうしても欲しい1点を取るために切った勝負のカードが的中した。
細部にも勝利への執念が凝縮されていた。
8回無死一、二塁では岸田が決勝点を呼ぶ気迫のスリーバント成功。バントのサインを出し続けた指揮官も「絶対に送ってほしい場面だった」と拍手でたたえた。今季最多18安打、同最多タイ12得点で大勝した前夜は「こういう大味の試合の後のほうが大事。みんな忘れて明日、もう一回頑張ってほしい」と引き締めていたが、切り替えて、つないで連勝。打つ手がズバズバ決まって貯金生活に復帰した。(片岡 優帆)