◇明治安田J1リーグ 第25節 広島0-0清水(10日・エディオンピースウイング広島)
清水エスパルスはアウェーで広島と0―0で引き分けた。6日の天皇杯と同カード、同会場、同時刻での連戦。
同じ轍(てつ)は踏まなかった。天皇杯で完敗を喫した同じ相手、同じピッチで貴重な勝ち点1を積んだ。試合前から強い雨が降り続く中、清水は最後まで集中を切らさず無失点。「同じ人間。広島にできて我々にできない訳がない」と断言していた秋葉忠宏監督(49)の言葉通り、中3日で立ち直った姿を見せた。
指揮官が思い切った勝負に出た。「変化を起こす」と4日前の試合から先発5人を変更。「ファーストセット」と評価するFW北川航也(29)、MF乾貴士(37)の二枚看板を思い切って温存し、今夏加入したFW高橋利樹を移籍後初スタメンに抜てきした。また布陣も4バックから広島と同じ3バックに変えて対峙(たいじ)させた。
狙いがはまった。「前線からのハードワーク」を自ら特長に挙げていた高橋利が攻守に奮闘。高い位置で即時奪回を続け、広島に主導権を渡さなかった。クロスにも泥くさく飛び込み、後半12分にはMF嶋本悠大のラストパスに反応。ヘディングで合わせたが、わずかにゴール左にそれた。6日の試合後「(広島は)クロスに対してタイトに付いてくる。ニアでつぶれるプレーが増えれば得点できる」と分析していた通り、多くの決定機にからんで存在感を見せた。また3月8日のG大阪戦以来の先発に抜てきされたMF嶋本も体を張った守備で貢献し、リーグでは初のフル出場を果たすなど収穫の多い一戦となった。
この日はピースマッチとして開催され、試合前には元広島のDF住吉ジェラニレショーンがチームを代表して平和宣言。黙とうも捧げられた。またこの日死去した釜本氏に哀悼の意を示すため両チームの選手は喪章を巻いてプレーした。次は16日にホームで横浜Mと対戦する。
(武藤 瑞基)
清水・秋葉忠宏監督「今日選手が見せた魂がエスパルスのメンタリティー。ここまで持ってきた選手に感謝し、心から敬意を表したい」