◆第107回全国高校野球選手権大会第10日▽2回戦 聖隷クリストファー―西日本短大付(15日・甲子園)

 全国高校野球選手権1回戦(9日)で明秀学園日立(茨城)を5―1で下し、創部41年目にして初出場初勝利を飾った聖隷クリストファーは10日、奈良・大和高田市で練習を行った。快勝から一夜明け、決勝打を含む2打点を記録した江成大和左翼手(2年)が2回戦(15日)の西日本短大付(福岡)戦での、さらなる活躍を誓った。

 聖隷ナインは甲子園2勝目に向け、すでに気持ちを切り替えていた。歴史的1勝から一夜明けたこの日、午前9時から練習開始。1時間のトレーニング後に行った打撃練習では江成が力強いスイングを見せた。

 6番打者は明秀学園日立戦の6回1死満塁で打席に立つと、二ゴロで勝ち越し点を奪取。さらに8回2死二塁の場面では、投手強襲の内野安打で2打点目を挙げた。ただ、184センチの左の長距離砲にとっては物足りない。「次はクリーンヒットでしっかり点を取る打撃をしたい」と誓った。

 初勝利を飾った9日は、母・香奈さんの53歳の誕生日だった。小学生高学年の頃に父・直樹さん(享年51)を病で亡くし、以降、チームへの送迎はもちろん、キャッチボールや打撃練習のトス上げまでこなしてくれた。アルプスで声援を送り続けた母から試合後に「いい誕生日になったよ。ありがとう」とメッセージが届いた。息子は「日頃から僕のために頑張ってくれているので、勝利というプレゼントを渡せたのはうれしい」と、はにかんだ。

 決して順風満帆ではなかった。昨秋は4番、今春は5番で出場。今夏の県大会も初戦は4番で臨んだが、県大会打率は2割1分1厘と振るわず、打順は6番に。悔しさで、涙したこともあった。それでも、仲間に「それで終わるな」と励まされ、「絶対に4番に戻る」と練習に打ち込んだ。静岡との決勝では無安打に終わり、その夜もバットを振った。努力家で親孝行の2年生が、次は鋭い打球で勝利の道を切り開く。(伊藤 明日香)

  〇…初戦で1失点完投勝利を飾った高部陸投手(2年)はこの日、ノースロー調整。ランニング後に、下半身の使い方を意識しながらフォームを確認した。初勝利を飾った9日は喜びと、熱投による疲労からぐっすり眠りについたという。「まだ疲労は残っていますが、疲れを抜いていきたい」。来秋のドラフト候補として早くも注目を集めるが「注目されていると思うのですが、まず自分ができることをやっていくだけです」と謙虚に足元を見つめた。

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