◇J2第25節 長崎2-1札幌(9日・ピーススタジアム)

 長崎戦は現地で観戦させてもらった。素晴らしい雰囲気の中での戦いとなったが、厳しい言い方をすれば、札幌の選手は「戦っているように見せる」ことはうまかったという印象だ。

 前半、特に気になったのはボランチに入った田中克幸のところ。彼が自信を持ってやればもっと良さは出せたと思うが、消極的なプレーになってしまった。左サイドの原も守備に比重がかかっていたのは分かるが、そこからのチャンスもほぼなかった。相手からしたら圧力こそかけられてはいるが、結局は何も起こらないなとなり、先制しても勝ちにつなげるのは難しくなる。

 攻撃の選手には、抜け出し方を練習から取り組んでほしい。前半に白井が前に走り、スパチョークがドリブルからパスを狙った場面があったが、白井の走りが直線的過ぎて通らなかった。外へ膨らみながら走ったり、スピードダウンして前にスペースをつくってそこに出してもらうとか、受け方を考えないと。角度をつくる動きが少ないと、攻撃は滞り、機能してこない。

 後半アディショナルタイムに決勝点を奪われた場面についても触れたい。宮がマテウスジェズスに倒されたプレーは、正直、ファウルを取る審判が多いと思う。ただジェズスが少しスピードを緩めて、外から内に体を入れ替えたのはうまかった。審判からしたら少しバランスを崩した宮が、引っ張られてファウルをもらいに行ったようにも見えたと思う。

試合序盤からジェズスはぎりぎりまで相手を引っ張りながら、絶妙なタイミングで離して逆にファウルをもらっていた。繰り返していた嫌らしいプレーを最後も形にした格好だが、その前に青木が不用意に横パスし、カットされて一気にピンチとなる状況を招いたことは、反省してほしい。

 昇格を考えると、結果だけでなく、内容的にも厳しいなと感じている。繰り返し言うが、びびって安全なプレーをしている場合じゃないんだと。高嶺のように上を目指すんだ、何とかするんだという姿勢を若手がピッチでもっと見せていかないと、勝利は手にできない。(吉原 宏太、1996~99年札幌FW)

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