◆明治安田 J1リーグ▽第25節 C大阪3―1新潟(11日・ヨドコウ桜スタジアム)

 10日に死去した釜本邦茂さん(享年81)が前身のヤンマーディーゼルサッカー部で活躍したC大阪は、新潟に3―1で勝利した。クラブの礎を築いたレジェンドのために喪章をつけて臨んだ一戦で逆転勝利。

攻撃的なサッカーを存分に見せつけ、伝説的ストライカーを白星で弔った。

 C大阪が持ち味を全面に発揮し、天国の釜本さんへ白星を届けた。後半39分から出場した元日本代表MF香川が哀悼の意を示した。

 「Jリーグ全体がリスペクトを持つことが大事。先輩たちがいて自分たちが今あるということを再認識させられる。サッカー界全体で、ご冥福(めいふく)をお祈りしたい」

 前半2分に先制を許したが反撃に転じた。同13分に中島、後半9分にピッチを左右に広く使った崩しからルーカスフェルナンデスが得点。FW2人で逆転した後も攻撃を緩めず、3得点で快勝した。アーサー・パパス監督(45)は「作り上げているフットボールを表現した中で勝ちきることができた」と、喜んだ。

 試合前には釜本さんへスタジアム全体で黙とうがささげられた。早大卒業後からヤンマー一筋18年、日本リーグでは251試合202得点。日本代表のエースとしても、歴代最多の国際Aマッチ76試合75得点を挙げた。

その輝かしい実績は、日本サッカーのみならず、C大阪の礎も築いた。

 クラブの森島寛晃会長(53)は悲報を受け「クラブの姿勢や文化を築いてこられた大先輩」と悼んだ。その“釜本イズム”を胸にチームは常にゴールへ向かう姿勢を示した。今季シュート総数はリーグトップ。この日も新潟の約4倍となる21本のシュートを放った。レジェンドが示した攻撃的なスタイルは変わらず根づいていた。

 森島会長は「ヤンマー時代はたくさん優勝のトロフィーやカップがあったのが、セレッソでなかなか増やしきれていない。昔のヤンマーの黄金期になれるようにやって、(釜本さんに)見ていただきたい」と誓った。「歴史に名を残すためには今のままじゃいけない。クラブ全体が変わらないと」と香川。今季残すは13試合。受け継がれてきた歴史と魂を胸に、上位へくらいついていく。

(森口 登生)

 ◆ヤンマー時代の釜本さん 早大を経て1967年にヤンマー(現C大阪)入り。1年目から14試合14得点、翌年も同成績で初の得点王。その後もゴールを量産し、日本リーグ251試合出場で、最多202得点。得点王にも7回輝き、通算ハットトリックは13回を記録した。78年からは監督を兼任し、84年に40歳で現役引退。同年8月に東京・国立競技場に6万2000人の大観衆を集めて、盛大な引退試合(ヤンマー・日本リーグ選抜)が行われ、王様ペレ(ブラジル)らが来日し、花を添えた。

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