J1町田の原靖フットボールダイレクター(FD)が13日、東京・町田市内での公開練習後に取材に応じ、G大阪から完全移籍で獲得したイスラエル代表MFネタラビの獲得経緯などを語った。

 町田は今秋からアジア・チャンピオンズリーグエリート(ACLE)に参加するにあたり、選手層の強化を今季開幕前から焦点にしていた。

リーグ戦6連勝などもあり、この日の時点で首位と勝ち点4差の5位に浮上しているが、序盤はDF菊池流帆やDF中山雄太ら、主力にけが人が続いたこともあり苦戦。リーグ中位にとどまっていた。

 6月の取材時にも課題に挙げていた原FDは、「13番目か14番目までは誰が出ても変わらないが、15番目になったらがくっと落ちることがどこも(ある)。うちも、春先の順位を見たときに何人か(けがで)いなくなったら低空飛行した」と改めて指摘。黒田剛監督が対人や球際での強度を求めるサッカーを志向していることもあり、「なるべく層を厚くし、多くの選手が生き生きしないと。黒田さんの肝はインテンシティー。インテンシティーを落とさないとなると、(これからは)何セットか(組み合わせが)必要」と話した。

 なぜ、ラビだったのか。原FDは、黒田監督が掲げるスタイルに適応するため、戦術理解力と攻守の切り替えを重視。その上で、「心臓部が結構疲弊する。最も疲弊するであろう心臓部であること、チームに多く効果をもたらすということでこういうポジションになった」と、ボランチの選手による夏場での疲弊度を挙げた。その上で、プレースタイルにも着目。

町田は開幕から5人(前寛之、下田北斗、白崎凌兵、仙頭啓矢、中山雄太)がボランチを務めてきたが、ラビのような司令塔型のボランチで、ドリブルやターンなど攻撃面で特長を持つボランチは少ない。原FDも「そういった部分はあります」とうなずいた。

 昨今の移籍事情も影響していると明かす。守備を重視するスタイルが外国人選手に理解されづらいこともあり、町田は日本人選手を中心にリストアップ。今オフも外国人選手は既存選手の残留のみで、新たな選手は加えなかった。しかし、「日本人選手が高騰化している。国内向けに(移籍金の)数字が入っていない」。既存選手に劣らない実力、なおかつ日本の気候や文化に慣れていることを条件にした場合、「必然的に国内にいる外国人になった」と説明した。

 主将を務めたイスラエルの強豪マッカビ・ハイファ在籍時には欧州チャンピオンズリーグにも出場の経験もあるラビ。原FDが6月に提示した「29~31歳。現役の代表選手、日本人ではなく海外の選手」という補強ターゲットにも合致する。実力十分の28歳が、町田をさらなる高みへと導く。

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