J2北海道コンサドーレ札幌MF宮沢裕樹(36)が、同期に初陣勝利をプレゼントする。2008年に室蘭大谷高(現道大谷室蘭高)から加入した宮沢にとって、11日に就任した柴田慎吾監督(40)は、同年に浜松大から札幌入りした同期。

16日のホーム・秋田戦は2年間をともに過ごした「柴田さん」が初めて指揮を執る。自身は2か月ぶりの復帰を果たし、勝ち点3取りへとつなげる。

 宮の沢での練習後、宮沢は柴田新監督と身振りを交えながら10分近く、対話した。08年に加入した同期と、選手と監督として初めて臨む一戦へ、紅白戦で感じた点を伝え、確認し合った。出場すれば左太もも裏痛から約2か月ぶりの復帰となる秋田戦。「今年はけがも多いので。何とかここで貢献したい」と同期に花を添えるためにも必勝を期した。

 「柴田さん」と呼ぶ新監督とは08~09年、札幌で共にプレー。「年齢は違うけど一緒に寮にも住んでたし、仲良くしてもらった」。監督は引退後の11年にスタッフとして札幌入りしたことから、話す機会も多かった。「選手時代から自分の考えをしっかりと話せて、信念を持ってる人」。ぶれない新指揮官が目指すスタイルはミーティングで聞いた。

「自分たちからアグレッシブにアクションを起こしていくという思考は、僕にも通ずるものはある」。共感を体現すべく尽力する。

 柴田監督は12日の就任会見で「裕樹ほどフットボールを理解している選手はコンサドーレにいない」と宮沢への信頼を口にした。その言葉を受け、宮沢は残り13戦という難しい状況で指揮を託された同期の力となるため全力を尽くす。「ゲームをコントロールするところだったり、自分の強みは知ってくれていると思うので。監督のやりたいことを理解してチームに落とし込んでいくのは自分の持ち味。そこは変わらずやっていきたい」と意を強くしている。

 秋田戦では室蘭市の日本製鋼所M&Eとタッグを組み、自ら購入した100席に子どもたちを招待する。初めて「宮沢シート」を設ける戦いへ「昇格を目指せる位置にいるのは変わらない。しっかり勝つためにやらなきゃいけない」。2試合ぶり白星で、誰もが笑える1日とする。(砂田 秀人)

 〇…J2札幌DF西野奨太(21)が、新指揮官へ「恩返しの勝利」を誓った。

札幌U―15に所属した中2~3年時、コーチを務めていたのが柴田監督。「サッカーに対してなあなあになっていた、反抗期の真っただ中で。めちゃくちゃ迷惑かけた」。それでも主将に指名されるなど期待してくれた恩師と、再び共闘することになり「一番濃い時期を柴田さんと過ごしたので。感謝は結果で返していきたい」。13日の練習後は宮沢と共に3人で動きを確認。成果は勝ち点3取りで示す。

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