日本代表の斉藤俊秀コーチが14日までに千葉市内で合同取材に応じ、自身の役割、森保一監督のマネジメントの変化、日本代表守備陣の進化・成長などについて語った。

 第1次森保政権から指揮官を支える斉藤コーチは「こういう形で今、日本代表活動をやらせていただいていることは決して当たり前のことではない。

“人事を尽くして天命を待つ”ではないが、しっかりやり続けていきたい。森保監督の言う“日本のために、選手のために”というところが、僕の立場で言ったら、さらに“監督のために”と。そこはあと1年、貫きたい」と穏やかな表情を浮かべた。

 自身の役割について「アンダー世代で(指導者として)やってきて、当時から選手たちの人となりも分かり、伸びしろも見てきた。全体だけではなく個のところにフォーカスしながら二人三脚でやれたら。練習台にもなれるような、そういう存在になれたら。自分が現役時代にもペリマン氏(元清水)には、個人練習をやってもらい、自信にもなった」と経験談を交えながら語った。

 22年カタールW杯を目指した第1次森保ジャパンと今回の第2次―。森保監督自身も、選手に対し直接指導するヘッドコーチ型から、より全体を見るマネジメント型に変化したと明かしている。斉藤コーチは「監督が昔は全部してみせていたところから僕ら(コーチ陣)は見ている。節目で言うと、前回のW杯予選が終わったタイミング。そしてカタールW杯本戦が終わった時が次の節目。

少しずつマネジメントが変わった。カタールの予選後は、攻撃は横内さん、守備は僕と、はっきりやるように。W杯本戦後、名波さんと(前田)遼一が来て、完全に分業になった」と説明した。

 さらに「マネジメントは変わっているけど、自分たちは監督の代弁者だと思っているので、そこは変わらない。あくまでも僕というツールを使って監督が発信しているくらいのイメージ」と明かした。

 来年の北中米大会でチーム目標は優勝。守備コーチとしての取り組みについて「今回のW杯2次予選くらい(昨年6月頃)から、監督がよくおっしゃっているのが『紅白戦が一番レベルが高い』ということ。(アジア相手に)準備している試合では起きない現象が(紅白戦で)起きる。そうするとミーティングでその修正の話になる。それって、(直接的には)予選の対戦相手の準備ではないけど、W杯への準備に1年前から入っていたということ」と強調。最終予選で、史上最速の3試合を残しての本大会切符獲得の背景に、自軍の競争力の高さとアジアより先の世界を見据えた取り組みにあるとした。

 自身は選手として98年フランスW杯メンバーに選出され、JリーグでもDFとして活躍した。

現在は冨安健洋(前アーセナル)、板倉滉(アヤックス)、伊藤洋輝(バイエルン)、町田浩樹(ホッフェンハイム)、高井幸大(トットナム)ら守備陣の海外進出も当たり前の時代となった。「日本人のきめ細かさというか、日本人を知れば知るほど欧州の人たちも起用したいとなるでしょうし。予測や準備、(ラインコントロール含め)戦わずして勝つ駆け引きもできる。あとはシンプルにサイズが上がってきている」と要因を分析した。

 斉藤コーチはチーム全体での守備時の戻り(帰陣)の早さについても触れ、「日本代表が(23年9月に)ドイツとやって4―1で勝っているアディショナルタイムに10人全員が戻った場面であったり。アーセナル、リバプールもそういう(素早い)戻りをしていたり。トミや(遠藤)航がそういうチームに所属しているから、僕もインスピレーションをもらうこともある。そこは選手とともに作り上げてきたとすごく感じる。選手にも感謝している」と、選手の日常のレベルの高さが好影響をもたらしていることも述べた。

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