◆海辺へ行く道(横浜聡子監督、29日公開)

 「ウルトラミラクルラブストーリー」「俳優 亀岡拓次」「いとみち」などで知られる横浜聡子監督の最新作。「人生は予測できない魔法で溢(あふ)れている」のキャッチコピーの通り、おとぎ話のような心躍るファンタジーだ。

 物語の舞台はアーティスト移住支援を積極的に行う海辺の街。約800人が参加したオーディションから主演に抜てきされた15歳の原田琥之佑が演じる中学校の美術部員・奏介は夏休み中も絵を描いたり、新聞部の取材を手伝ったりと毎日、忙しい。大人たちは秘密を抱えて、どこか怪しい。決して大きな出来事は起こらないが、ゆったりと流れる時間が心地よく、世界観にずっと浸っていたくなる。

 主演の原田を支えるキャストが個性豊かで面白い。脚本家として超売れっ子の宮藤官九郎がウェットスーツ姿で海から登場する謎の男を演じていたり、昨年、Netflixの「極悪女王」で注目された唐田えりか、剛力彩芽のコンビが再共演。坂井真紀、麻生久美子、高良健吾、菅原小春ら実力派もクセのある役で、作品を大いに盛り上げている。

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