競泳女子平泳ぎの鈴木聡美(ミキハウス)が25日、東京・南長崎スポーツセンターでデサント社主催の「小中学生向けマルチスポーツイベント体験会」に参加した。豊島区の小学4~6年生25人に水泳教室やトークショーを実施。
水泳教室ではストリームラインやスカーリングなど、水泳の基礎の部分を指導。手取り足取り教えるなど、子供たちと触れ合いながらレクチャーした。「水泳は全身を使う種目なので、できないという概念を取り払ってほしいと伝えたかった」。最後は自身の50メートルの泳ぎを披露し、拍手が送られた。
トークショーでは筑波大の大山高教授とともにマルチスポーツについて話した。両親がバレーボール選手だったこともあり、小学生の時は友人と遊びながら行っていた。そのほかにも長距離走や縄跳びにも多く取り組み、「平泳ぎの蹴りの瞬発力につながっている」という。
楽しさを感じる瞬間は「自己ベストが出たとき」と子供たちに伝えた。7~8月に行われた世界選手権では100メートル平泳ぎで、自己ベストの1分5秒78をマークするも4位と、わずかに表彰台には届かなかった。「狙っていたメダルが取れなくて複雑だったが、結果的には楽しい気持ちになった」と前向きに話した。
これまで2012年ロンドン五輪で200メートルで銀、100メートルと400メートルメドレーリレーで銅メダルを獲得。だが、意外にも現在指導を受けるコーチからは「水泳のセンスはゼロ。平泳ぎしか上手に泳げなくて、それ以外の種目は下手」と言われたそう。だが、「だけどコツコツ頑張る選手は好き」と指揮官は評価。鈴木自身も「私は不器用だからこそ1個を長く続けられる」と話した。昨年は日本競泳史上最年長の33歳でパリ五輪にも出場。長く活躍できる秘訣(ひけつ)は不器用さが生んだ副産物だった。