昨年のチャンピオンズCでG1級競走6勝目となる有終Vを飾ったレモンポップ。現在は北海道日高町の「ダーレー・ジャパン スタリオンコンプレックス」で種牡馬生活を送っている。
レモンポップといえば現役時から筋骨隆々の姿が評判だったが、種牡馬になり一段と厚みが増した印象だ。スタリオンマネジャーの倉貫寛之氏は「昨年12月の入厩時は500キロを超えるくらいでしたが、一時は600キロを超えました。半年でこんなに増える馬はいないですよ。あげればあげるだけ食べます」と苦笑い。一方で「本当に人に従順で仕事をしっかりこなしてくれるし、言うことないです」と扱いやすい性格には賛辞を惜しまない。
種付け初年度から人気は爆発した。ダーレー・ジャパンで最高額の種付け料は500万円ながらも、集まった繁殖牝馬は実に214頭。236頭のパレスマリスに次ぐ数字だ。ノミネーションマネジャーの加治屋正太郎氏は「近年で路線が整備されて、ダート馬の需要は関係者の中でかなり上がっています。レモンポップはさらにサンデー(サイレンス)を持っていないので、付けやすいんですよね」と分析する。
その言葉通り、ナダルは種付け料が前年の300万円から1000万円に大幅アップ。ルヴァンスレーヴは現3歳世代の勝ち上がり率40%を達成した。産駒が主にダートで活躍する種牡馬の存在感は年々、増してきている。「まだ公開はできませんが、G1馬のお母さんなども集まっていますし、非常に楽しみなラインアップですよ」と加治屋氏。順調なら28年にもデビューするレモンポップ産駒も、活躍は約束されたようなものだ。
ダーレー自体もタワーオブロンドン産駒のパンジャタワーがNHKマイルCと先週のキーンランドCを勝ち、安田記念をパレスマリス産駒のジャンタルマンタルが制するなど、スタリオンとしての勢いは加速している。加治屋氏は「我々のラインアップもそろってきましたし、それに付随して優秀な繁殖が集まるいいサイクルができてきています。大きなチャンスがこれからあるのではないかと期待しています」と力を込めた。その“切り札”は、北の大地で巨体をゆったりと育ませている。(角田 晨)
◆レモンポップ 父レモンドロップキッド、母アンリーチャブル(父ジャイアンツコーズウェイ)。米国・Oテイト夫妻の生産。ダーレー・ジャパンが同国キーンランドのセールで購入。
◆ダーレー・ジャパン ドバイミレニアム、ファンタスティックライトなど数々の名馬を所有した世界最大の馬主「ゴドルフィン」の中心人物であるUAE・ドバイのモハメド殿下が統括する生産牧場集団「ダーレーグループ」の日本法人として2002年に設立。種牡馬は北海道日高町の「ダーレー・ジャパン スタリオンコンプレックス」で現在、12頭がけい養されている。
◆10月31日まで見学可能「競走馬のふるさと案内所」で確認を
○…ダーレー・ジャパン スタリオンコンプレックスは一般見学が可能。今年は8月16日から10月31日までの月、金、土曜(9月6、13日を除く)に実施している。時間は14時30分~15時30分。