◆バドミントン 世界選手権最終日(31日、パリ)
決勝が行われ、女子シングルスで世界ランク5位の山口茜(28)=再春館製薬所=が3度目の頂点に立った。21年東京五輪金で同4位の陳雨菲(ちん・うひ、中国)を2―0で破った。
決勝で圧巻の強さだ。山口は相手のショットがコートを外れ勝利が決まった瞬間、静かに笑みを浮かべた。準々決勝で敗れ、メダルに届かず8強で終わった昨夏パリ五輪と同会場で、21年東京五輪女王の陳にストレートで圧倒。18、19年大会での男子シングルスの桃田賢斗、女子ダブルスの永原和可那&松本麻佑ペアに並ぶ2度制覇を超えて、日本初の3度目Vに輝いた。「すごくいい大会。今季は上位に食い込めずにいた。向かっていく気持ちで臨んだのが良かった」と大歓声に心地よさそうに両手を挙げた。
攻守で上回った。第1ゲームはスピードを生かし、1―2から9連続得点。21―9であっという間に先取すると、第2ゲームは4―6から追いつき、守りで粘ってラリーに持ち込んでスマッシュ。
バドミントンと同じく幼い頃からブロック遊びも大好き。現在は集中力を必要とする小さな「ナノブロック」にハマり、昨年、自身がモデルのブロックも発売されたほどだ。女子選手では珍しいトリッキーな動きも魅力で第1ゲーム中盤に飛びついてレシーブし、強打につなげた。「自分の発想を表現するところも好き」と独創的なアイデアはプレーにも生かされている。
19歳で16年リオ五輪に初出場。自身4度目となる28年ロサンゼルス五輪へいまは目の前の勝負に集中する。「今は楽しくやって、何か新しいことが見えたらいい」。まだ手にしていないのは五輪金メダル。
◆山口 茜(やまぐち・あかね)1997年6月6日、福井・勝山市生まれ。28歳。兄の影響で5歳から競技を始め、勝山高時代の2013年ジャパンOPで日本勢初優勝。14年全日本総合選手権で史上4人目の高校生V。16年に再春館製薬所入りし、女子ダブルスの志田千陽(28)は同期。18年4月にシングルスでは男女を通じ、日本勢初の世界ランク1位(現在は5位)。22年全英オープン初制覇。五輪は16年リオ、21年東京、24年パリの3大会連続で8強入り。156センチ。