◆女子プロゴルフツアー ニトリレディス 最終日(31日、北海道CC大沼C=6955ヤード、パー73)
最終日のバックナインで1打差に12人がひしめく大混戦を、3打差13位から出た鈴木愛(31)=セールスフォース=が逆転で制し、今季初優勝を飾った。5バーディー、ボギーなしの68をマークし、通算12アンダーで昨年3月のVポイント×ENEOS以来となるツアー通算21勝目。
吉報を、練習グリーンで受け取った。最終組の4組前でホールアウトした鈴木の、逆転が決まった。キャディーの「優勝したよ」の言葉に「本当に?」と何度も繰り返した。「終わってから何組も待つことがあまりなかったので、めちゃくちゃソワソワしていた。ホッとした」。21勝中逆転は7度の逃げ切り型。13位からの逆転は、自己最後方からの大まくりだった。
グリーン上での強さが、今季1勝をたぐり寄せた。15番でピン左奥6メートルからねじ込み連続バーディー。17番でカラーからの5メートルを沈めて右拳を握った。今季平均飛距離は239・28ヤードでツアー46位。
前戦まで2試合連続で最終日最終組に入りながら敗れた。前週のCATレディースは1打差2位で迎えながら74とスコアを落とし9位。ロッカールームで大粒の涙があふれた。「何を考えて最終日に挑んでいたんだろう? 最終日どうやってゴルフをやっていたんだろう?」。頭の中から「優勝」の2文字を封印し、この日は自分のプレーにフォーカス。「5アンダー(68)」をターゲットに一打に集中した。
昨季ランキング上位の竹田麗央、山下美夢有(みゆう)、岩井明愛(あきえ)、千怜(ちさと)が主戦場を米国に移した。「アグレッシブ」が信条の鈴木は、今の国内ツアーのゴルフを「セーフティー」と言った。「パー、パー、パーより、バーディー、ボギー、バーディーの方が見ている方も楽しい。
◆日本女子ゴルフの永久シード 資格はツアー通算30勝で樋口久子(69勝)、ト阿玉(58勝)、不動裕理(50勝)、大迫たつ子(45勝)、岡本綾子(44勝)、森口祐子(41勝)の6人。日本女子オープン、日本女子プロ選手権で各2回優勝者のみに付与されていた資格が1992年に「ツアー30勝以上の者」に変更になり、取得済みの樋口、大迫に、ト、岡本、森口の3人が加わった。不動は2004年に史上最年少の27歳285日で達成。申ジエが29勝で王手をかけている。