最終週を迎えた夏の新潟開催。最後を締めくくる重賞は、サマー2000シリーズの最終戦でもあるGIII新潟記念(8月31日/新潟・芝2000m)だ。

 夏の新潟の伝統の一戦となるが、とにかく"荒れる"レースとして知られている。過去10年の結果を振り返っても、3連単の配当はすべて万馬券。2022年の70万円超えを筆頭に、10万円超えの高額配当が6回も出ている。それについては、研究ニュースの藤田浩貴記者もこう語る。

「過去10年で、1番人気が勝ったのは1度だけ。波乱の多い一戦であることは間違いありません。開催の最終週に行なわれるため、馬場も荒れており、レースにおいては進路取りなどが明暗を分けることが多いです」

 ただし、こうした傾向も「今年は変わる」と藤田記者は言う。

「最大の波乱要因だった"ハンデ戦"というくくりが、今年から"別定戦"に変更。それによって、これまでとは傾向が変わる可能性が十分にあります。ですから、今年のレースにおいては、人気順に基づいたデータなどは、あくまでも参考程度にしたほうがいいかもしれません」

 藤田記者が指摘するとおり、別定戦になったことで、メンバー構成もこれまでとはかなり変わった。一昨年のGIエリザベス女王杯(京都・芝2200m)を勝ったブレイディヴェーグ(牝5歳)をはじめ、前走のGIヴィクトリアマイル(5月18日/東京・芝1600m)で2着と好走したクイーンズウォーク(牝4歳)、GI戦線で奮闘を重ねているダノンベルーガ(牡6歳)など、過去には見られなかった豪華メンバーが顔をそろえた。

 そうなると、これまでのような"波乱の傾向"は薄れるかもしない。

実績馬が幅を利かせて、"堅い"レースになってもおかしくない。しかしながら、藤田記者は穴党の出番がなくなることはない、と見ている。

「別定戦となれば、クイーンズウォーク、ブレイディヴェーグ、そして無傷の3連勝でGII青葉賞(4月26日/東京・芝2400m)を制したエネルジコ(牡3歳)らが有利に見えて人気を集めそうですが、それぞれ不安要素を抱えています。

 クイーンズウォークは、最大目標が次走のGI天皇賞・秋(11月2日/東京・芝2000m)。その分、目イチの仕上げではありません。ブレイディヴェーグは暑さに弱いタイプで、酷暑が続くなかでの調整がどうか、気になるところです。

 また、エネルジコはこれまでに3戦しかしていない3歳馬。キャリアが浅く、初の古馬相手のレースでどこまでやれるのか、不安が募ります」

 では、どういった馬が狙い目となるのか。藤田記者は、2頭の伏兵候補をピックアップした。

「1頭目は、コスモフリーゲン(牡5歳)です。個人的に、一番注目している馬です。

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 デビュー前から陣営の感触がよく、2年前の初出走の未勝利戦(中山・芝1800m)では、自分も推奨馬に挙げたほど思い入れのある馬。
実際、同レースでは3馬身差の完勝劇を披露してくれました。

 そのデビュー戦を勝ったあとは、ツメの不安や骨折などもあって、長期休養が何度かありました。その分、5歳馬ながらいまだキャリアは9戦。まだまだ伸び盛りです。

 3勝クラスで足踏みしましたが、今年に入ってからは一段階成長した印象。現に2走前のサンシャインS(4月20日/中山・芝2200m)で3勝クラスをクリアすると、前走ではオープン入り初戦でGIII七夕賞(7月13日/福島・芝2000m)に挑戦。しぶとい内容で着差以上の強さを見せて、重賞初勝利を飾りました。

 その後、サマー2000シリーズのチャンピオンを目指してGII札幌記念(8月17日/札幌・芝2000m)などに向かう選択肢もありましたが、調教での乗り難しさを考えると、慣れない競馬場での調整や、主戦の柴田大知騎手がコントクトを取れなくなる点を憂慮。トレセンで普段どおりの調整過程で臨める新潟記念に決定した、と聞いています。

 それだけに、仕上がりには抜かりなく、ここ3週の動きは絶好。初の新潟になりますが、左右の回りによって特段のクセがあるわけではないので、心配はないでしょう。

 展開的にも、逃げ・先行馬が手薄。

ワンターンのコースや馬場傾向を考えても、すんなりと先手を奪って自分のリズムで運べる公算が高いです。他馬に比べて勝負度合いが強く、展開の恩恵などを味方にして粘り込んでも不思議ではありません」

 藤田記者が推奨するもう1頭は、昨年の覇者シンリョクカ(牝5歳)だ。

「近走は本来の生きっぷりが失われていましたが、チークピーシーズを装着した前走のヴィクトリアマイルでは彼女らしさが戻ってきていました。6着に敗れたものの、勝ち馬とはコンマ2秒差と善戦しました。

 骨折明けで勝った昨年よりも、調整過程は今年のほうが上。暑い時期も得意で、ひと追いごとに気配も上向いてきているようです。

 主戦の木幡初也騎手が手の内に入れていて、操縦性の高さ、優れた機動力が持ち味。コスモフリーゲンの出方を見ながらペースコントロールができれば、自分に有利な展開に持ち込みやすいはずです。

 昨年のレースよりも相手はそろいましたが、コース適性もあり、勝機は十分。連覇があっても驚けませんよ」

 好メンバーが集結し、注目度が増している新潟記念。別定戦になることによって、人気の盲点となりそうな2頭の走りに注目である。

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