女子プロサッカー「SOMPO WEリーグ」第5節の関西ダービー、INAC神戸―C大阪ヤンマー戦は6日午後6時よりノエビアスタジアム神戸で行われる。今季初、リーグ通算5度目の対決。

得点が期待される両チームのキーマンに意気込みを聞いた。リーグ参戦3季目のC大阪ヤンマーは、直近2戦連発中のMF北原朱夏(しゅか、21)。(取材・構成、森脇 瑠香)

 レフティーの北原が、3戦連発を見据えてピッチを駆ける。第3節・相模原戦(8月24日・ヨドコウ)では、こぼれ球に左足を伸ばして押し込み、自身のWEリーグ初得点。チームの今季初勝利に貢献した。前節・長野戦(31日・長野U)は敗れたが、先制ヘディング弾。左を振り抜いてのゴールは関西対決へのお楽しみ。「特長である左のシュートで得点を決めたい。トラップさえ決まれば自信はある」と意気込んだ。

 中学時代は地元・滋賀から電車で2時間かけて、C大阪下部組織の練習に参加した。身長153センチと小柄でも戦えることを証明するため「中学の時は(全体の)練習前と練習後に1時間、シュート練習をしていた」。誰よりも早くグラウンドに来て、ボールを蹴った。

「やっているうちに、強いシュートを打てるようになって、左足は武器だなと気づいた」と居残りシュート練習は今も続けている。

 ストライカーとして技術アップに励んでいたなか、高校に入った頃、左サイドバックへの転向を命じられた。「攻撃が好きだったから、しんどくてストレスを抱えている状態で、ずっとやっていた。ヘディングの競り合いは身長の問題で勝てない」と落ち込んだが、収穫もあった。「筋トレをやって体幹を鍛えて、走ってカバーできるように運動量を高めた」とフィジカルが向上したほか、今ではチーム1の運動量を誇る。

 サッカーにつながることなら何でも挑戦する明るい性格だ。プロボクシングに転向しWBA、WBC世界バンタム級1位の那須川天心(27)=帝拳=の大ファン。オフにはキックボクシングジムに2か月、通った。シーズン中は疲労を考慮し、そのトレーニングはしていないが「腕はずっと構えていて上げているから筋肉がついて、細かいステップとかも意外とサッカーに生かされている」と笑顔で明かした。

 現在のフォーメーションは3―4―3。左サイドハーフに位置し、攻撃参加はもちろん、ディフェンスラインまで下がり、守備も行う。下部組織での6年間の経験が生かされ、「運動量が求められるポジション。

3―4―3になってサイドは攻撃的に行けるし、守備も運動量でカバーできる。自信があるから、自分には向いているかな」と胸を張った。

 チームは競争が激しく、スタメンを確約されているのは一握りの選手だけ。「試合に出たら、うれしくて調子に乗っちゃう」と笑うが、初スタメンの相模原戦で得点するなど、勢いづけば相手の脅威になる。「アグレッシブさを出して、もっと攻めていけるように」。これからも強烈な左シュートを武器に、自分の道を切り開いていく。

 ◆北原 朱夏(きたはら・しゅか)2004年6月10日、滋賀・大津市生まれ。21歳。5歳からサッカーを始め、オールサウス石山SCを経て、中学1年時からC大阪堺アカデミー(現C大阪ヤンマーガールズU―15)に所属し、6年間プレー。21年、全日本U―18女子選手権では得点王で優勝に貢献。23年、C大阪ヤンマーレディース昇格。WEリーグ通算17試合2得点。

身長153センチ。

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