女子プロサッカー「SOMPO WEリーグ」第5節の関西ダービー、INAC神戸―C大阪ヤンマー戦は6日午後6時よりノエビアスタジアム神戸で行われる。今季初、リーグ通算5度目の対決。
経験豊富な成宮が2戦連発で関西ダービーを盛り上げる。C大阪ヤンマー戦はカップ戦を含めた6試合中3試合で得点。だが昨年12月のリーグ戦では、得点を決めたが1―2で敗戦し「去年初めて黒星を付けられて、やっぱり負けたくない相手。相性はいいので、ゴールをこじ開けあられたら」と誓う。今季も、第1節の昨季王者・日テレ東京V戦(8月10日・神戸ユニバ)、第4節・大宮(30日・NACK)で先制点を挙げ、いずれも決勝ゴールとなっている。
中学から地元・関西を離れて東北へ。JFAアカデミー福島に所属した。「サッカーの基盤となる部分を一から鍛え直してもらった」と練習漬けの日々を送った。高校1年時には東日本大震災を経験。被災し、多くの人々の支えがあって、サッカーが出来る喜びを身にしみて感じたという。
高校卒業後、サッカー人生を大きく変える出会いもあった。ベガルタ仙台に加入し、なかなか試合に出られず苦しんでいた時、声をかけてくれたのが当時スペランツァFC高槻(現スペランツァ大阪)で監督を務めていた元サッカー日本代表GK本並健治氏(61)だった。その高槻で、なでしこジャパンFWの丸山桂里奈(42)と、ともにプレー。「シュートはとにかくうまい、ドリブルもトップクラス。見て学んだ」と技術の高さを目の当たりにした。「本並さんには帰れって怒られたこともあるけど、桂里奈さんは寄り添ってくれて、2人は突き放さないで最後まで見てくれた」。のちに夫婦となった2人への感謝は尽きない。
成宮は、丸山から学んだ技術をINAC神戸で発揮。WEリーグの初代女王に貢献した。国内リーグ出場数は250試合を超え、女子サッカーファンなら成宮を知らない選手は、いないだろう。中盤で攻撃の起点となれば、鋭い嗅覚でゴールも演出する万能型。対戦した相手監督も口をそろえて「対処が難しい」と警戒する。
昨季はキャリアハイの7ゴールを挙げた成宮。成長し続ける30歳は「今シーズンは10ゴールを絶対取りたい。取ることで優勝に近づけると思うので、貪欲にゴールを狙っていきたい」と意気込む。チームでWEリーグ初代女王に輝いた後は、3年連続2位と悔しさを味わったが、ゴール量産で今季こそ王座奪還へと導く。
◆成宮 唯(なるみや・ゆい)1995年2月22日、京都市生まれ。30歳。小学2年時から太秦サッカー少年団で競技を始める。中学、高校時代はJFAアカデミー福島所属。13年、ベガルタ仙台(現マイナビ仙台)加入。同年秋、スペランツァFC高槻移籍。17年から千葉、21年からINAC神戸所属。