サッカーの欧州各リーグは8月31日、各地で行われ、米国遠征を控える森保ジャパンの攻撃陣が絶好調を示した。MF三笘薫(28)=ブライトン=は強豪マンチェスターC戦で決勝点をアシスト。

FW上田綺世(27)=フェイエノールト=、MF南野拓実(30)=モナコ=らも豪快なゴールを決めた。26年北中米W杯に向けた米国遠征で日本は6日(日本時間7日)にメキシコ、9日(同10日)に米国と対戦。代表合流直前の攻撃陣の仕上がりを岡島智哉記者が「占う」。

 これほどまでに“絶好調組”で構成される日本代表も珍しい。かねて所属クラブでの「結果」を重視する森保一監督(57)も、ご機嫌なはずだ。8月30日に2ゴール1アシストをマークした堂安に触発されたかのように、森保ジャパンの攻撃陣が結果を残した。

 イングランドでは、三笘が直近5年でリーグV4度のマンチェスターCに一泡吹かせた。1―1で迎えた後半44分、速攻から「スペースが見えたので大きすぎないように出しました」と丁寧かつ鋭いパス。決勝点をアシストし、仲間とともに雄たけびを上げた。英国人記者が「あんなにうれしそうなカオルは見たのは初めて」と目を丸くしたことを伝え聞くと「そんなことはないです(笑)」と照れた。

 メキシコには21年東京五輪の準決勝(1●3)で、米国にはドイツで行われた22年の親善試合(2〇0)でゴールを挙げている。三笘にとっては相性のいい北中米での連戦へ「勝ったことで(代表に)すっきり行ける」と腕をまくった。

 オランダ3季目を迎えた上田の勢いも止まらない。2ゴールをマークし、開幕から3戦連発。クラブを率いる元オランダ代表の点取り屋・ファンペルシー監督に「ストライカーが欲しがる素質を全て備えた選手」と言わしめる結果を残している。どのポジションよりも「調子」が重視されるセンターFWにおいて、頼れる存在だ。

 フランスでは、南野の嗅覚が相変わらず鋭い。2―2で迎えた後半アディショナルタイム、クロスをダイビングヘッドで捉えた。意表を突くフワッとした球質にDFはタイミングが合わなかったが、南野はドンピシャ。状態の良さがうかがえる得点だった。

 メキシコも米国も、間違いなく強い。12年ロンドン五輪を振り返るとメキシコには準決勝(1●3)、21年東京五輪3位決定戦(1●3)で敗れた因縁の相手。いずれも決定機を仕留められなかったことが、勝敗に直結した。A代表でも公式戦で過去に2度対戦(05、13年コンフェデ杯)し、いずれも1―2で惜敗。

力強く、賢さを長所とする守備を相手に“1点止まり”を繰り返してきた歴史がある。

 東京五輪メキシコ戦で得点を挙げた三笘をはじめ、好調アタッカー陣が気分良く米国に乗り込めることは好材料。主力の守備陣に負傷者が続出しているという不安も大きく、対アジアで一定の成果を収めた森保ジャパンの攻撃的3バックがどの程度通用するかも未知数だ。だが、孫子の兵法を借りるならば「攻撃は最大の防御なり」である。勢いそのままにW杯開催国とぶつかり、そして結果を残したい。(岡島 智哉)

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