新入幕会見という晴れの日に日翔志は、22年に57歳で亡くなった父・文男(のりお)さんに思いをはせた。番付表を手に「お墓参りして報告したい。

喜んでくれたらうれしい。辞めずに辛抱してきて良かった」と、しみじみと語った。

 21年に父の反対を押し切り、日大職員を辞めて角界入りしたが、その年に首の大けがで2か月の寝たきり生活に。リハビリの休場中に父が亡くなった。「父に背いてプロ入りしけがをした。母のために(引退して)働かないといけないのかな」と思うこともあった。

 イバラの道は続いた。けがを乗り越え、新十両だった23年九州場所2日目に今度は右足首を痛めた。2勝13敗で幕下へ転落。「1年で十両に戻れなかったら潔く辞めようと少し考えた」という。そんな中、埼玉栄高の先輩、湊川親方(29、元大関・貴景勝)や兄弟子の大栄翔らに励まされ復活した。秋場所の目標は大関・琴桜との対戦。

琴桜は高校の同級生で団体戦で全国優勝した同級生だ。「僕が社会人時代にプロ入りしたいと思えた存在。数年ぶりに対戦したい」と燃えていた。(山田 豊)

 ◆日翔志 英忠(ひとし・ひでただ)本名は沢田日登志。1997年8月14日、東京・立川市生まれ。5歳から相撲を始め、新潟・能生(のう)中、埼玉栄高、日大を経て日大事業部に就職。追手風部屋に入門し21年夏場所に初土俵。23年九州場所で新十両。同場所で右足首を痛め2勝13敗で幕下転落。今年の春場所で再十両。181センチ、157キロ。得意は右四つ、寄り。

好きな言葉は「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」。

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