世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥が2日、横浜市の大橋ジムでWBA暫定王者ムロジョン・アフマダリエフとの防衛戦に向けた練習を公開。シャドーボクシングとミット打ちを1ラウンドずつ披露した。
モンスターの進化は止まらない。仕上がりは「毎度言っているが、過去イチですね。聞き飽きたかもしれないですけど」。約100人の報道陣を前に、尚弥の笑みがこぼれた。父・真吾トレーナー(54)が「今回も最高な練習ができた」と言えば、大橋秀行会長(60)も「過去最高。正直、試合が楽しみでしかない」と同調した。
「キャリア最大の強敵」に対し、最大限の準備を整えてきた。23年4月にアフマダリエフに唯一の黒星をつけた元WBA&IBF同級王者マーロン・タパレス(33)=フィリピン=と約1か月間のスパーリングを敢行。8月上旬には名門・帝拳ジムでプロデビュー後初の出稽古を行うなど、東洋太平洋フェザー級王者・中野幹士(30)ら同ジムが誇る4人のサウスポー地域王者と手合わせした。「今回はスパーリングパートナー、内容を含め、すごく意味のあるトレーニングができた」。
アフマダリエフ戦のテーマを「どんな勝ち方でも必ず勝ちを手にするという気持ち」と掲げた尚弥は「KOにこだわらず、しっかりと勝つことだけを目的として、試合を進めていきたい。その全てを名古屋で見届けてほしい」と必勝を誓った。
一方、前日(1日)に公開練習を行ったアフマダリエフの「(尚弥を)総合力で上回っている」との発言には、「ちょっと的を外しているなと。総合力は絶対に負けていないと思うんで」と笑顔で一蹴(いっしゅう)。「唯一、アフマダリエフの怖いところはフィジカル面、パワーだと思う」と警戒すべきポイントを挙げた。
試合当日は来年5月の東京ドーム決戦が計画される中谷が来場する。大橋会長が「来たるべき日に備えて」招待した。尚弥は「気にはしない。ただ、着々とその日に向けて進んでいるなっていうのは感じます。あと2戦もしっかりやり過ごさないといけない」と気を引き締めた。(勝田 成紀)
◇尚弥に聞く
―試合に臨むスタンスは「守る」か「挑む」か。
「守るという気持ちは、どの試合でもない」
―プロ入り後初の出稽古を行った。
「初心に戻って新たな気持ちで今回挑めている。試合が終わって、練習の成果が実感できると思う」
―アフマダリエフの印象は。
「アマチュア時代に世界を飛び回って試合をしている選手だけあって、落ち着いているし、自信に満ちあふれた表情している」
―首都圏以外での初の世界戦。チケットも完売した。
「うれしいですよ。アフマダリエフが相手ということで注目度も高いと思う。日曜開催は久しぶり。平日だと来たくても来れない方も多かったと思うので」