横浜スタジアム周辺がTUBE一色に染まっていた。神奈川出身の4人の、いわばホームグラウンド。
結成メンバーのままデビュー40周年を迎えたTUBEで90年代以降、作曲を主導するのがギターの春畑道哉だ。ライブ直前の取材で「例年より強めで濃いめ」と話していた曲目の個性は、“サッカーメドレー”となった自身のソロパートにも表れていた。WEリーグのテーマ「WE PROMISE」に、フジ系サッカー中継の「FANTASIA」。Jリーグが開幕した93年以来のアンセム「J’S THEME」では無数のペンライトが揺れた。
一時代を築いたバンドが結成時のラインアップで活動を全うすることは、欧米ではほとんどない。ブラック・サバスのボーカルで7月に亡くなったオジー・オズボーンは、死の17日前に結成メンバーと「最後のライブ」を行ったが、これは極めて異例だ。そんなサバスでさえ、オジーを追い出して大物シンガーを迎え入れるなど、メンバー変更を繰り返した時期があった。
ボーカルが注目されがちなロックというジャンルで、各パートが存在感を発揮しつつ均衡を保つのは難しい。不動の顔ぶれを維持するTUBEやGLAY、THE ALFEEが長く支持されているのは、音楽はもちろん日本人ならではの「仲の良さ」も一因だろう。和を尊ぶ国が誇るレジェンドとして、息の長い活動を続けてほしい。
◆堀北 禎仁(ほりきた・よしきみ) 2008年入社。6月から芸能担当。エレキギターは高1で早々に断念。