日本代表はメキシコ代表(6日 0△0)、米国代表(9日・0●2)と対戦した米国遠征1分け1敗で終えた。メキシコがFIFAランキング13位、米国が同15位とともに17位の日本より上回る相手とのテストマッチは、26年北中米W杯に向けた貴重な場となった。

この2試合から得た教訓を、米国遠征を取材した日本代表担当の金川誉記者が「見た」。

 この2試合がW杯の1次リーグなら、1分け1敗で敗退の危機に立たされていた。アジアでは味わえなかった強度やスピードは、まさにW杯本番に近いものだったと言える。その中でも、瞬間の判断で生まれた2つのプレーが印象的だった。

 メキシコ戦の0―0の後半45分。裏に抜け出したFW上田が決勝ゴールか、と会場中が思った瞬間。メキシコDFモンテスは、迷わず露骨なファウルで潰した。後方からの決定機阻止は、VARの末に退場となったが、日本は勝利を奪われた。上田は「足を刈りに来たので、びっくりした。でも最後自分が退場しても(得点を)阻止する感覚。魂というか、文化ですよね。アジア、欧州にはない感覚」と話した。

球際の執念は、中南米クラブの特徴。北中米W杯では母国からの距離の近さと、熱狂的なサポーターの後押しを受け、そのスタイルはより際立つはずだ。

 また米国戦の2失点目も、大きな教訓となった。現在はモナコで南野とチームメートの米国代表FWバログンは、この試合途中まで精彩を欠いた。しかし後半19分、スルーパスが裏に出ると、瞬間で抜け出し落ち着いて左足で仕留めた。背後を取られた関根は「ああいう状況を作った時点で自分の負け」と悔やんだ。不調に見えても、一瞬で仕留めてくる冷静さ。その恐ろしさを、関根は痛感しただろう。

 時差や長距離移動、スタジアムの独特と言える空気感も含め、今遠征で得たものは大きい。刹那に宿る執念や冷静さが、運命を分ける。その事実をW杯で痛感する前に、今ここで強く胸に刻んでおくべきだ。

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