陸上のU20(20歳未満)日本選手権第1日が27日、静岡・草薙総合運動場陸上競技場で行われ、男子5000メートルで鳥取城北高のエース本田桜二郎(3年)が13分44秒44で優勝した。同高の準エース村上遵世(3年)も13分49秒98で5位と健闘した。

 本田、村上は昨年の全国高校男子駅伝で福岡・大牟田の選手として準優勝したが、指導者の交代を決めた学校側の判断に反対して、今年4月に鳥取城北へ集団転校した。全国高校体育連盟の規定で転校後、6か月(水泳は1年)は同連盟の主催大会に出場できない。そのため、大牟田から転校した2、3年生は夏の全国高校総体(インターハイ)、その予選に当たる県大会や中国大会は不参加だった。

 高校生日本一を決めるレースは走ることができなかったが、日本陸連が主催するU20日本選手権で、高校生のライバルや大学生(1年生と早生まれの2年生)と勝負して、本田が優勝、村上が5位と、それぞれ高校トップレベルの実力を改めて証明した。

 10月以降の高校駅伝には、4月に転校した選手も出場できる。昨年の鳥取県高校駅伝は米子松蔭が優勝し、鳥取城北は2位だった。大牟田から転校した選手は新天地で成長し、元々、在籍していた選手も力を伸ばしている鳥取城北は、鳥取県大会を勝ち抜き、全国高校駅伝でも優勝を争う力を秘めている。

 この日、同じレースで宮城・仙台育英高の鈴木大翔(3年)が13分46秒10で2、菅野元太(3年)が13分46秒97で3位、若林司(3年)が13分51秒30で6位と3人も入賞。7月の全国高校総体では兵庫・西脇工の新妻遼己(3年)が優勝、赤坂勇輔(3年)が6位と2人が入賞した。

 全国高校駅伝は、仙台育英、西脇工、そして、鳥取城北が激しい優勝争いを繰り広げることになりそうだ。

 ◇大牟田から鳥取城北へ集団転校の経緯 関係者の話を総合すると、昨年11月の福岡県高校駅伝に優勝し、2年連続45回目の全国高校駅伝出場を決めた後、学校側は25年度から磯松大輔監督を招へいし、実質的な監督だった赤池健ヘッドコーチ(HC)をサポート役に降格させる方針を決定。選手と保護者は反対し、撤回を求めたが、覆ることはなかった。

その後、赤池氏は大牟田のHCを辞任し、鳥取城北の監督に転職することを決めた。各選手が保護者と話し合った結果、当時1、2年生(現2、3年生)19人のうち18人が赤池氏の指導を受けることを希望し、鳥取城北へ集団転校した。赤池氏の指導を希望して大牟田への入学を予定していた新入生の大半も鳥取城北へ進路を変更した。一方の磯松新監督率いる大牟田は3年生1人と1年生7人の計8人で福岡県大会に挑む。

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