大相撲秋場所千秋楽(28日・両国国技館)

 横綱・大の里(二所ノ関)が、優勝決定戦で横綱・豊昇龍(立浪)を寄り倒して5度目の優勝。互いに横綱初優勝をかけた一番は、大の里に軍配が上がった。

 1敗の大の里を1差で追っていた豊昇龍は、千秋楽結びの一番を押し出しで制して決定戦へ。逆転優勝を狙ったが、最後は大の里に屈した。この日NHK中継で解説を務めた元大関の琴風浩一(本名・中山浩一)氏は「時間は短かったけど、中身の濃い一番でしたね」と最後の一番を評価。その後、敗れた直後の豊昇龍の姿に賞賛を贈った。

 中継の映像は、優勝後に支度部屋で取材を受ける大の里の姿。中山氏は土俵を振り返りつつ「それと、今ね、僕は土俵を見てたんですけど」と語り出した。「豊昇龍がね、深々と花道で頭を下げて、引き揚げましたよ。やっぱりもう、悔しくて悔しくてたまらないと思うんだけど。やっぱり深々と頭を下げてね、戻って行く姿。やっぱり、何とも言えなかったね。立派ですよ。横綱という地位にいる人だなと、今つくづく思いましたね」。

 決定戦では、上手投げの豊昇龍と寄り倒す大の里が土俵際でもつれるきわどい勝負。物言いがついたが、軍配通り大の里の白星となった。勝負審判の説明が終わった直後、豊昇龍は表情を変えず。わずかに唇をかみ締めながら、花道を引き揚げる姿が映し出されていた。

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