巨人が中日に快勝し、レギュラーシーズン最終戦を飾った。泉口友汰内野手(26)は4打席連続出塁で出塁率を3割6分2厘1毛に上げ、リーグトップの小園(広島)をわずかに上回り、初タイトルに前進。
代走と交代し、ベンチへ戻る泉口の目に真っ先に飛び込んできたのは、両手を上げて喜ぶ仲間の姿だった。ナインや阿部監督とハイタッチすると、いつもはポーカーフェースの頬が緩んだ。「みなさんが喜んでくれるのが一番うれしいというのがずっとある。すごくうれしかったです」。6回無死一塁の第4打席でカウント3―1から外角高め直球を見極めて四球を選び、出塁率を3割6分2厘1毛に。広島・小園を6毛差でかわしてシーズン最終戦でついに、リーグトップに立った。
初タイトルに望みを残す条件は4打席4出塁。初回に四球、2回は右翼線上に落ちる二塁打。4回には一、二塁間をしぶとく破る右前安打で、打率も3割1厘まで上げた。
心を軽くしてくれた言葉があった。初めてレギュラーとして駆け抜けたシーズン。弱音や泣き言を吐かない男でも、そのわずかな表情の変化に気づくのはいつも、亀井打撃コーチだった。試合前練習中にポン、と肩をたたき「大丈夫や」。泉口が「少しおかしくなったら修正してくれる」と信頼しきる亀井コーチは「しっかりやるヤツだから、いい時は何も言う必要はない。真面目だからね。気負いすぎることはないよと。それだけだよ」と精神面でも支えとなっていた。
「勝利に貢献することだけを考えてやって最後まで来た」。6月4日のロッテ戦(ZOZO)で打率3割6厘に上げ、プロで初めてリーグトップに浮上。それも自宅に戻ってから愛妻に「首位打者になってるよ!」と声をかけられるまで気づかなかった。それほどまでに目の前の一打席に集中して積み上げた数字だ。
打席数、安打数はいずれもチームトップ。丸、岡本、吉川ら主力が離脱する中、シーズンを通して打線を支えてきた。タイトル獲得は2試合を残す小園、1試合を残す大山(阪神)の結果次第だが、打線の屋台骨を担い続けた背番号35の貢献が色あせることはない。「CSを突破して日本一を取れるように。頑張っていきたい」。最後の4打席で見せた集中力。短期決戦も勝負強い打撃に期待がかかる。(内田 拓希)