◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 10月に大相撲のロンドン公演が34年ぶりに行われる。海外興行も、2013年のインドネシア・ジャカルタ以来、12年ぶりだ。

当時、関取で参加して今も現役は小結・高安(35)=田子ノ浦=、幕内・玉鷲(40)=片男波=の2人だけ。高安は「僕が関取になる前はたくさん海外にいっていたけど、最近はない。ロンドン公演は歴史に残ること。ありがたい」と心を躍らせた。

 平均体重158・2キロの幕内力士が、飛行機2便に分かれて英国へ向かう。欧州への渡航歴がある力士は少なく、「移動が長い」(大の里)、「寒そう」(熱海富士)という声も。体が資本だけに「ご飯が大好きなんでないと困る」(平戸海)、「値段(物価)が高いらしい」(高安)と心配の声があがる。

 1991年の前回ロンドン公演について調べてみると、ビッグベンなど観光名所を二階建てのバスに乗って訪れていた。若花田(後の横綱・若乃花)、曙らの力士がカラオケを歌ったり、ケンブリッジ大ラグビー部とスクラムを組んだり…。ダイアナ妃がジョギングするという公園を散歩し、姿を見たという声まであった。

 当時参加した元小結・舞の海秀平さん(解説者)は「バッキンガム宮殿の衛兵交代式の動きがロボットのようですごかった。2回も見に行ってしまった」と振り返る。

食事もお気に入りのトマトベースのスープを毎日のように飲んでいたという。「街に出るとすごく声をかけられて、力士に興味を持たれていることに驚いた」と懐かしむ。令和の力士がどんな珍道中を繰り広げるのか、楽しみだ。(相撲担当・山田 豊)

 ◆山田 豊(やまだ・ゆたか)09年入社。海外渡航歴は18か国。ロンドンには14年に滞在。

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