◆凱旋門賞・G1(10月5日、フランス・パリロンシャン競馬場・芝2400メートル)
【パリ(フランス)3日=山下優】JRA海外馬券発売対象の第104回凱旋門賞・G1は日本時間5日23時5分、フランス・パリロンシャン競馬場の芝2400メートルで行われる。今年はクロワデュノール、ビザンチンドリーム、アロヒアリイの3頭が悲願の日本勢初Vに挑む。
実際にパリロンシャンの馬場を2日に歩いた。あこがれの地でまず感じたのは、意外に馬場がしっかりしているということだ。馬場の硬さを示す機械、ペネトロメーターの数値は「3・4」を示している。主催者であるフランスギャロのシャルル・ド・コルドン場長は「軟らかい良馬場」と言っていたが、個人的には日本の良に近い稍重。これなら、日本馬も十分期待できると感じた。
次に目に入ったのは高低差。スタートしてから緩やかに上るが、最後の直線から見ると3コーナー地点は明らかに高く、そこから下ってフォルスストレートに向かっていく。相当にタフなコースだが、雨が降るとさらに過酷さが増すのは間違いない。
今年の大きなニュースとして、フォルスストレートの水はけを改良する工事を行ったことがある。今までは池が近くにあるため排水しづらい状況だったが、馬場に穴をあけて砂を入れた。
そして直線にもカギがある。内ラチ沿いは7月14日からずっと保護されており、これが凱旋門賞当日に開放されて幅約6メートルの「オープンストレッチ」として使用される。もちろん芝は密に生えそろっており、見た目も絶好の状態だ。道中は脚をためて、直線でそのスペースをうまく利用することが重要になる。したがって、外枠を引いた馬には厳しい戦いになる。
3日午後から4日にかけて雨予報。雨量によるとはいえ、これは日本馬には非常に痛い。特に軽い走りをするビザンチンドリームには試練と言える。アロヒアリイは母の父にオルフェーヴルが入っている血統面、クロワデュノールは当地の重馬場で行われた前走のプランスドランジュ賞を勝った実績から、そこまでマイナスにはならないとみている。
外国馬では2番ゲートを引いたダリズが気になってきた。
◆凱旋門賞 世界最高峰のビッグレースで、10月1週目の日曜にパリロンシャン競馬場で開催される。1920年創設。今年の1着賞金は285万7000ユーロ(約4億6607万円=25年JRA換算レートの1ユーロ=163・132円で計算)。これまで日本調教馬は32頭(のべ35頭)が挑戦しエルコンドルパサー(99年)、ナカヤマフェスタ(10年)、オルフェーヴル(12、13年)で2着が4度あるが、勝利はない。
◆凱旋門賞のコース 右回り2400メートルの芝大回り。ポケットのスタート地点からコースを横切る向こう正面までの直線は1000メートル。高低差10メートルの勾配を上がり、下りの3コーナーへ。4コーナー手前まで約250メートルの「フォルスストレート(偽りの直線)」を過ぎると、最後の直線は平坦な533メートル。残り450メートルから内の仮柵がなくなり、幅約6メートルのスペースを生む「オープンストレッチ」を使用。
◆パリロンシャン競馬場の天気と馬場 日本時間3日17時30分現在の主催者発表で稍重。過去24時間の降水量は0ミリだが、4日は一時雨予報で5日は曇り時々晴れ。最高気温17度で重馬場と予測している。
◆山下 優(やました・ゆう)1983年7月、東京都生まれ。42歳。大阪本紙予想担当。グリーンチャンネルでパドック解説に出演。予想は相手関係を精査し、調教の動きをミックスするスタイル。「X」(@thanks_jumboimo)で、競走馬や騎手のオフショットなどを発信しており、現地フランスでの取材の様子も精力的に更新している。