2000年以降に有馬記念を制した名牝を振り返る企画の最終第4回は、コロナ禍の20年に制したクロノジェネシス。

 ファンの期待に結果で応えた。

20年に歴代最多(当時)となる21万4742票でファン投票1位で、年末のグランプリに出走したクロノジェネシスが、芦毛の馬体をターフで弾ませた。「天皇賞・秋は状態がイマイチでしたが、(有馬では)出来が良かった。距離やコース形態的にもチャンスはあると思っていました」。有馬記念に管理馬初出走させた斉藤崇調教師も自信を胸に秘め、コロナ渦で入場人員が制限された3516人の観客とともに見守った。

 発馬を決めると北村友はリズムを重視し、道中は中団後方から。向こう正面で徐々にポジションを上げ抜群の手応えで直線を向くと、早め先頭から押し切りを図るフィエールマンをゴール前でとらえ、サラキアの猛追もしのいだ。「年末に競馬ファンでない人も注目しているレース。僕も子供の頃に有馬記念ってすごいな、と感じたレースを勝てて、すごくうれしかった」とトレーナー。史上11頭目の同一年春秋グランプリ制覇を振り返った。

 史上初の牝馬連覇を狙った翌21年は3着。史上初の春秋グランプリ4連覇、史上牝馬初の有馬記念連覇は逃したが前年覇者の意地は示した。「6歳手前になって、凱旋門賞から帰ってきて、お母さんみたいな雰囲気を出していた。

引退することも決まっていましたし、まずは無事に回ってきて欲しいと思っていましたが、それでもあれだけの競馬をしてくれた」とトレーナー。今年、初子のベレシートがデビュー。グランプリを彩った名牝は、第2の馬生を歩み出している。(戸田 和彦)=おわり=

クロノジェネシス 父バゴ、母クロノロジスト(父クロフネ)。2016年生まれの牝馬。現役時代は栗東・斉藤崇史厩舎所属で、馬主は(有)サンデーレーシング。北海道安平町のノーザンファームの生産。通算17戦8勝(うち海外2戦0勝)。総獲得賞金は12億473万5400円(うち海外1億302万1400円)。G1勝利は秋華賞(19年)、宝塚記念(20、21年)、有馬記念(20年)。宝塚記念では史上2頭目、牝馬初の連覇を成し遂げた。

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